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佐賀市周辺(佐賀) 夜間に収穫 高品質

網に付着したノリは、有明海の栄養素を吸収して成長する(水中撮影用のハウジングに、15ミリの超広角レンズを使用して撮影)

 佐賀のノリ生産者のカレンダーは9月に始まる。

 割り当てられた漁場に支柱を立て、10月初めごろ、カキ殻に培養されたノリの種苗を、海面で網に付着させる。種のついた網を支柱に張っていくと、1面の空撮写真のような光景が出現する。

 収穫が始まるのは11月ごろだ。ひとつのノリ網から4、5回の収穫が可能だが、「お茶と同じで、初芽が柔らかい。一番摘みが最高級です」と有明海漁協の江頭忠則課長。

 年末か年始早々に、採苗後に冷凍保存していた別の網に張り替えて、収穫は3月末ごろまで続く。

 ノリ摘みは、夜中に行われる。

 「光合成で育つノリは日没直後に細胞分裂するので、活動が落ち着いた夜間がいいんです」(江頭課長)

 作業時刻は、潮の具合に合わせて夜中や明け方になる。江頭忠さんは「おでこのライトを頼りに、冬の暗い海で摘むのは大変。でもそれだけの価値がある。昼と夜では、品質に大差がある」と話す。摘まれたノリはすぐに乾燥・加工され、おなじみの板ノリの姿になっていく。

 ほぼ100%国産の食品にもかかわらず、消費者がノリの産地を意識することはあまりない。そこで佐賀では、「ノリといえば佐賀」をアピールすべく県と漁協が協力し、2年前から最高級ブランド「有明海一番」を送り出している。

 一番摘みの中から、たんぱく質含有量など厳しい数値基準を設けるなど厳選したノリで、5枚で2500円(税別)と価格も高級。封を切った香り、パリッとした手応え、濃厚なうまみは、ノリとはこんなにおいしいのかと再認識させられる。

弥生時代に栄えた吉野ヶ里遺跡(吉野ヶ里町)。再現された環濠(かんごう)集落が歴史のロマンをかきたてる

 「検査は厳しいしコストがかかるから、生産者にあまりもうけはない。でも、ノリ自体のレベルを上げるためには、ああいうものも作らないとね」(江頭忠さん)

 「有明海一番」のような高級ノリは贈答品向けの製品だ。ただし、全国海苔貝類漁業協同組合連合会の調べでは、ノリ消費量全体に占める贈答用の割合は5%(2008年)。お歳暮を廃止する企業や自治体が増えた影響で、「かつての3分の1程度」(清水聡・漁政総務部長)にとどまる。

 現在のノリ消費を支えるのは業務用(68%)。中心はコンビニエンスストアのおにぎりだ。実はここでも有明海のノリは高く評価され、主要チェーンには「有明産のり使用」などと記されたおにぎりが並ぶ。

 「おにぎりとノリを分離包装するタイプでは、すべて有明産を使っています。味、香り、色などに優れている。3年前からは包装にも明記しています」(セブン―イレブン・ジャパン広報センター)

 一方、コメ離れの影響もあり、家庭用の消費量は下降気味。「アミノ酸やビタミンの豊富な健康食でもあり、食の多様化に対応できるメニューを提案していきたい」(清水部長)と、ノリ業界は活路を探している。

■アクセス

 羽田から佐賀空港まで2時間。市中心部までバスで35分。

■お土産


 ノリ製品では、ノリを乾めんに練り込んだ「海苔(のり)うどん」「海苔パスタ」=写真=。ゆでるとノリの香りが広がり、つるりとした食感が楽しめる。佐嘉の絲(いと)=(電)0952・62・8121。

■葉隠


 武士道の手本ともいわれる書「葉隠」は佐賀で生まれた。佐賀藩主の側近だった語り手の山本常朝が隠居後に住んだ金立(きんりゅう)町の山中に「常朝先生垂訓碑」=写真=が残る。

■問い合わせ

 佐賀ノリについては佐賀県有明海漁協=(電)0952・24・3351、サン海苔(同漁協の販売会社)=(電)0952・24・6191。佐賀県観光については佐賀県観光連盟=(電)0952・26・6754。

 (「食べものがたり」は今回で終わります)

2009年12月30日  読売新聞)
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