リンゴ 料理にも活躍する万能選手リンゴのさわやかな甘味と酸味は、秋から冬にかけてのきりりとした空気を感じさせる。デザートはもちろん、季節の食材と合わせて料理にも活躍する万能選手だ。 珍しい生産方法や品種のリンゴを使い、個性あふれる皿に仕上げている店を訪ねた。(小坂佳子) 「木村さんのりんごスープ」は、東京都港区のフランス料理店「シェ・イグチ」のシェフ井口久和さんの自慢の一品だ。いためたリンゴをすりつぶし、生クリームやリンゴジュースと合わせる。甘い香りが鼻をくすぐり、口に含むとリンゴの味が広がる。 「木村さんのりんご」とは、納得のいく食材を探していた井口さんが3年ほど前に出合い、ほれ込んだリンゴだ。青森県の農家木村秋則さんが無肥料、無農薬という独自の農法で作っている。「切ってもほとんど変色せず、香りも味も力強い」と井口さん。 「ブルターニュ産オマールエビと木村さんのりんごのミルフィーユ」は、リンゴの薄切りとオマールエビを交互に重ね、バルサミコ酢のソースを絡めた。リンゴのさわやかな酸味がエビの甘味を引き立てる。「イベリコ豚と自然栽培野菜のクリーム煮」は、煮野菜の上に焼いたリンゴを乗せた。 「日本のリンゴは甘味が強く酸味が弱いので、加熱しすぎると味がぼやけてしまう。さっと火を通してフレッシュ感を残すのがコツ」と井口さんはアドバイスしてくれた。 同店は、1グループ限定の完全予約制(昼5000円から、夜2万円)。季節の食材を組み合わせ、メニューを決めている。 東京の果物専門店「新宿高野」は創業120周年を記念して、10月7日〜23日に、特別なリンゴのデザートを「タカノフルーツパーラー本店」(東京都新宿区)で出す。日本では珍しいイギリス原産の「ブラムリー」という青リンゴを使った「りんごのパイ」(1260円)だ。 ブラムリーは、長野県小布施町で2003年ごろから500〜1000キロだけ生産されている。「リンゴの新たな一面を知って欲しいと企画しました」と広報担当者。生のままだと酸味が強すぎて思わず顔をしかめてしまうが、加熱すると甘味が出てアップルパイにぴったりなのだそうだ。 パイの中に、煮たリンゴを詰め、バニラアイスクリームをのせる。パイの下にもリンゴを煮込んだソース。ブラムリーのしっかりした酸味と、バニラアイスの濃厚な甘さとの対比が新鮮だ。 リンゴは生で食べるのもおいしいが、いつもと違う一皿に出合えば、新しい魅力を発見できそうだ。 (2005年10月6日 読売新聞)
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