担々麺 辛口バトル本場・四川は「汁なし」、そばつゆ使う「和風」向暑の折、辛口の担々麺(たんたんめん)はいかが? 火を噴くような辛さに舌が刺激され、一気に汗をかくのは爽快(そうかい)だ。最近は中国・四川省の伝統的な汁なし担々麺が上陸する一方で、日本そばのつゆを使った和風担々麺などが登場。本流と進化系が火花を散らす担々麺の新しい魅力を楽しみたい。(龍野晋一郎) 東京・下北沢の「Tom’s製麺」。中国人店長の田悦良さんの一押しは「汁なし担々麺」(700円)だ。 「いい汗かいてね」と、運ばれてきた皿には、どっさりと麺が盛られていた。ゴマの香り豊かなソースが絡んだ麺を覆うのは、大量のモヤシ。その上に、刻んだピーナツ、豚肉のそぼろ、刻みネギなどが添えられている。見た目も楽しい、山のような一品を崩すのはもったいないが、よく混ぜてから食べる。 中国で花椒(ホアジャオ)と呼ばれるサンショウの一種と、ふんだんに使われたトウガラシの風味。四川料理の特徴といわれる舌がしびれるような独特の辛さに、汗がどっと噴き出した。 「担々麺は、本場の四川では汁なしが普通。19世紀半ばに四川省の成都で生まれ、マーボー豆腐と人気を二分する料理。麺とたれを天秤(てんびん)に担いで街角で売っていて、天秤を『担いで』売るので『担担麺』と名付けられたんですよ」と田さんは話してくれた。 アミューズメント施設「新横浜ラーメン博物館」(横浜市)の中野正博さんによると、日本の担々麺は、マーボー豆腐などを日本に広めた四川省出身の料理人陳建民さんが、辛さを抑えるためにスープを合わせ、汁麺として日本人向けに改良した作り方を紹介して広まった。この3、4年、新しい素材を使った担々麺が次々に出ているという。 さいたま市のJR浦和駅西口近くにある「そば屋 むとう」は、25年前から続く老舗の立ち食いそば店だが、夕方6時になると、「そば屋の担々麺」というのぼりが掲げられる。 今年2月から、純和風の担々麺を出す店として歩み始めた。店はカウンター4席のみ。店長の武藤亨さんは、両親が25年間作り続けてきたカツオの削り節で作るそばつゆをベースにした純和風の担々麺を考案した。 花椒や八角など6種類の香辛料、すり立てのゴマ、みじん切りのザーサイ、水菜。一見、シンプルな仕上げだが、ラー油とゴマに絡めながら細麺をすすると、どこか懐かしい味が口いっぱいに広がる。辛さは「控えめ」(650円)から「極辛」(700円)まで5段階。控えめでも十分によい汗がかける。 「ほとんどのお客さんが辛いと言いながらも、スープを飲み干してくれます。両親の味を新しい形で継げたことがうれしい」と武藤さん。 トウガラシなどの香辛料やゴマの成分から発汗・美容効果が期待される担々麺。健康志向も加わって、ますます注目されそうだ。 (2007年5月31日 読売新聞)
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