「飢餓の国」小学生が体験食事量 通常の1〜2割肉は9日に1度、卵は1週間に1個、牛乳は6日でコップ1杯……。 2015年の日本で、食料の輸入がすべてストップしたら、1日の食事のメニューはどうなるか。農水省が昨年まとめたシミュレーションではこんな予想が公表された。 主食の米は、朝・夕食に各茶わん1杯。おかずは夕食に焼き魚1切れを食べられるが、朝と昼はジャガイモやサツマイモでまかなう。みそ汁も2日で1杯だけ。しかも食料自給率が現在の40%から45%に増えていることが前提だ。 現実に起こりうる、こんな日本の食料事情を子どもたちが体験する試みが、新潟県上越市の大手町小学校で行われている。題して「食糧その日」。5年生の児童が、自分たちで栽培・飼育した農作物や家畜だけに頼った食事をとる、1泊2日の体験学習だ。 〈雪に閉ざされる冬場の4か月間を、それまでに確保した食料だけで生き延びる〉 〈飢餓に苦しむ国と同じ量の食事だけ食べる〉 こうして割り出した1食分は、通常の10分の1から5分の1の量。児童は学校に泊まり、昼食、夕食、翌日の朝食の3食分を調理して食べる。 例えば、昨年11月の「その日」には、56人の5年生が参加。学校で借りた水田や畑で栽培した米やジャガイモ、児童がエサを与え育てた豚の肉などを1泊分の食料にした。 1食を約113キロ・カロリーとし、1人あたりの豚肉は約10グラム、ご飯やゆでたジャガイモなども2〜3口分しかない。豚肉はスープの具にして空腹感を減らすなどの工夫をした。それでも翌朝、空腹で気分が悪くなり、保健室に駆け込む児童もいたという。 「(飢餓の国では)毎日このような生活をしていると考えたらすごく驚きです」 「(終了後に)お母さんが作ってくれた塩おにぎり。こんなにおいしかったっけ?」 「育てた野菜、世話をした豚(の味)をかみしめて2日間をすごしました」 児童の文集には、様々な感想が並ぶ。体験後は給食を残さなくなり、好き嫌いがなくなった子どもが多いそうだ。 実はこの体験学習は、20年も前から続いている。当時、同小教諭だった上越市教育長の小林毅夫さんは「体ごと『食』を実感し、子ども自身で、食の大切さや感謝の気持ちを学ぶことが大切」と話す。 大手町小を訪ねた後、近くの上越市立城東中学校に寄ってみた。生徒が給食の食べ残しを自発的にゼロにする試みを実践しているという。自分たちの量の過不足を分け合うことなどで無駄を省いている。1年生のクラスで「完食」を呼びかけたという女子生徒は「大手町小で、食べる大切さを考えたから」と話す。 飽食の国・日本で、食べ物の大切さを次世代に伝える動きは、少しずつ広がっている。(鳥越恭) (おわり) (2006年9月16日 読売新聞)
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