食の安全に厳しい目 中国ウナギ業者、悲鳴日本で返品 当局が輸出禁止基準値を超える有害物質が見つかった食品や練り歯磨き、ペットフード――。次々に問題が明るみに出て、中国政府は「中国製品の安全性」に対する信用回復に躍起だ。ウナギ加工の業者を訪ねると、「政府のやり方は厳しすぎる」といった不満が噴出していた。 (福建省甫田市で 加藤隆則、写真も) 中国が日本などに輸出するウナギ加工品の約半分を生産する福建省。甫田市の業界大手・興和食品工業の方金獅社長(74)は「大打撃だ」と頭を抱えていた。中国政府が公表した輸出停止処分の「ブラックリスト」に自社名が入っていたのだ。 方社長は、神戸の検疫所が出した5月9日付「食品衛生法違反通知書」を手に「これが原因だ」と打ち明けた。輸出したウナギ白焼き750箱の抜き打ち検査で大腸菌群が見つかり、送り返された。 2001年に工場を開設した同社は、約1300人の従業員を抱え、かば焼きを中心に年間約2000トンの加工食品を生産している。100%日本向けで、年商は約2億元(約30億円)。安全管理徹底のため、約500ヘクタールの養殖池、飼料工場も持っている。返品は初めてだった。 方社長は「地元の検疫をパスしたのだが……。食品安全に対する中央政府の姿勢はこれまでになく厳しい」と言う。日本の7月30日の「土用の丑(うし)の日」に向けた稼ぎ時を終え、工場内はガランとしていた。9月には日本向け輸出が再開されるが、影響は避けられそうにない。 一方、広東省ウナギ業協会会長もかねる徐利明さん(36)のかば焼き加工工場では、白衣を着た検査員が一台350万元(約5250万円)もするという米国製の最先端薬物検査器をのぞき込んでいた。手の洗浄方法まで詳細にマニュアルが表示してある。「安全には絶対の自信がある」と言う。 それだけに、徐会長は「中国政府のやり方は厳しすぎる」と話す。日本から取り寄せた週刊誌を職員に翻訳させている会長は、「中国産品の検査は(日本の)国内産品より厳しい。報道は悪い面ばかり」と日本の対応に不満を募らせる。中国内ではウナギは高級魚だが、徐会長は「中国人も豊かになったから、ウナギを全部国内で売りさばくことだってできる」とし、日本には売らないと言わんばかりだ。 大腸菌群は、加工過程で衛生上の不備により付着する。輸出停止を命じられたウナギ加工業者8社の中には、発がん性の指摘される抗菌剤マラカイトグリーンの検出された業者も4社ある。同物質は中国国内でも使用が禁止されている。 業界関係者は「小規模な養殖業者は食品安全に対する意識も低い。安易に禁止薬物を使用するケースがある」と指摘し、違法を承知で抗菌剤を使っている業者が多いことを認めた。 中国製品の安全性 今年3月、米国で中国産原料を使用したペットフードによって犬や猫が急死したのを発端に、世界各国で中国産の菓子類、野菜、魚介類、ダイエット食品、おもちゃなどから次々と有害物質が検出された。日本でも6月以降、中国から輸入した10製品以上の練り歯磨き=写真、AP=から、毒性のあるジエチレングリコール(DEG)が検出され、販売元が製品を自主回収した。 【食品衛生法に違反した中国からの輸入品例】 (4月以降分、厚生労働省資料による) 品 目 検出物 生鮮マツタケ アセトクロール 乾燥シイタケ 二酸化硫黄 かば焼きウナギ 規格不適合の細菌数、AOZ、セミカルバジド、大腸菌群、 マラカイトグリーン 冷凍煮込みアナゴ 大腸菌群 冷凍ゆでガニ 大腸菌群 焼き鳥 規格不適合の細菌数、大腸菌 ウーロン茶 トリアゾホス ハチミツ クロラムフェニコール (2007年7月23日 読売新聞)
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