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モカ苦杯 残留農薬、輸入激減から半年

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メーカーや喫茶店ではモカの品薄に対応するため様々な工夫をしている(昨年12月、千代田区の「神田伯剌西爾」で)=清水健司撮影

品薄…焙煎、ブレンド工夫

 独特の酸味と甘酸っぱい香りで、コーヒー通に人気の「モカ」が、半年以上も前から国内にほとんど輸入されなくなっている。残留農薬が基準値を超えて検出されたためで、輸入再開のめどはたっていない。なのに大きな騒ぎになっていないのは、なぜだろう――。

 舞台裏では、メーカーや喫茶店が、ほかの豆でも同じ味や香りを味わえるようにと、ブレンドや焙煎の工夫と努力を必死で重ねていた。(渡辺加奈)

 老舗の有名喫茶店が集まる東京・神田神保町。その一つ「神田伯剌西爾」では、店独自のブレンドコーヒー2種類にモカを使っていた。しかし昨夏、在庫が切れそうになったことから、別の産地の豆や焙煎の度合いを変えるなどの試行錯誤を繰り返し、何とか元の味に近づけたのだという。

 「モカのフルーティーな香りは他の豆ではなかなか出せない。もっと早く輸入が再開すると思っていたんですが」。店長の竹内啓さん(37)はため息をつき、少しだけ笑ってみせた。「でも味の違いを指摘してくれたお客様はまだいません」

 「日本マクドナルド」が味の良さを前面に打ち出して昨年2月に全国販売を始めた「プレミアムローストコーヒー」も、実は昨年夏ごろブレンドが変わっていた。販売から6週間で前年の25%に当たる3000万杯が売れた大ヒット商品だが、モカの輸入が制限されるという情報が入ったため、豆の産地や配合量などを変えた50以上のレシピを試作。酸味や苦み、コクなどのバランスを崩さず安定供給が可能な新レシピを開発し直したという。

 「味の素ゼネラルフーヅ」でも人気の「モカブレンド」の発売を中止し、8月頃からコロンビア産に切り替えた新商品を投入した。缶コーヒー業界も「ダイドードリンコ」や「伊藤園」が、それぞれブレンドに使っていたモカをコロンビア産などに切り替えている。

 異変の原因は、国内に出回るモカの98%を占めるエチオピア産の生豆から昨年4月以降、国内で使用が禁じられている4種類の農薬が、相次いで基準値を超えて検出されたため。業界団体の全日本コーヒー協会が現地入りして調査したが、農薬汚染の原因は不明で多くの商社が輸入を手控え、その後の輸入量は前年の数%程度にとどまっている。

 一方、米国に本社がある「スターバックス」は今もモカを月2〜3回、日替わりコーヒーとして提供している。同社が輸入しているのは、生豆を米国に持ち込んで焙煎した「加工品」。焙煎によって農薬の成分が減少するだけでなく、生豆の時より、農薬の残留基準値が種類によっては5倍ほど緩くなることから、輸入が可能なのだという。

 それでもモカの供給不足はコーヒー通には深刻なよう。台東区内で約40年間、喫茶店を経営している日本スペシャルティコーヒー協会理事の田口護さん(70)は「モカは深く焙煎しても香りが残る個性的な味が魅力で、通のためのコーヒー。私の店でもストレートで飲む人はエチオピア産のモカを選ぶ人が一番多いのに、在庫はあと3か月持つかどうか」と頭を抱えている。

 

[解説]モカ

 エチオピア産やイエメン産のコーヒー豆の総称で、もともとは中東のイエメンにあった港の名。産地によって「モカハラー」などと呼び方が変わる。全日本コーヒー協会によると、2007年に日本に輸入されたコーヒー豆約40万トンのうちエチオピア産は第5位の約3万トン。コーヒーにミルクやチョコレートなどを混ぜた「カフェモカ」は全く別の飲み物。

2009年1月6日  読売新聞)
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