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    エゾシカのすき焼き ◎かくしか(札幌市中央区)

    猟師の食べ方 ヒント

    • エゾシカ肉は1人前150グラム。2人でシェアしてもOK。日本酒にはもちろん、赤ワインにもよく合う
      エゾシカ肉は1人前150グラム。2人でシェアしてもOK。日本酒にはもちろん、赤ワインにもよく合う

     下町の風情を残す札幌・円山商店街の一角に、3月末オープンした「かくしか」。今風にいえばワインバルだが、ビールに日本酒、ハイボールだってそろう。

     「おいしいお酒とおいしいつまみを楽しめる、ちょっと気分のいい飲み屋でしょうか」。笑顔でそう説明するのは、店主の若杉幸平さん(39)。地下鉄東西線の西18丁目駅に近いフランス料理店「バンケット」のオーナーシェフだが、この界隈かいわいの雰囲気が気に入り、「地域の人が気軽に集まって来られる場所を」と新しい店を開いたという。

     メニューは日によって異なるが、内容も価格も気取りがない。定番人気の「手羽先のから揚げ」は3本で400円と懐に優しい上に、軟らかくてジューシーで素直にうまい。手羽先はマリネ液に漬けて、事前に油でじっくり煮ておく。そして、注文後にカラリと揚げる。さすがフレンチのシェフ、さりげなく、でもきっちりとフランス料理の仕事を随所に生かしている。

     かくしかの名物料理にしたいと、若杉さんが特に力を入れているのが、「エゾシカのすき焼き」だ。これまでありそうでなかった食べ方の提案が面白い。

     「バンケットでもエゾシカはよく使う食材ですが、仕入れ先のハンターさんはすき焼きで食べることが多いそうで、実際にやってみるとこれがいける」と、若杉さん。エゾシカのファンを広げるきっかけにもなると、メニューに加えた。

     使うエゾシカ肉は、白糠町やむかわ町の腕の良いハンターがったもので、ロース肉やバラ肉を選んでいる。

     小ぶりなすき焼き鍋に割り下を入れ、具材を煮込むスタイルだが、エゾシカ肉は食べる都度、さっと火を通すのがポイントだ。

     赤ワインが隠し味の甘辛い割り下とエゾシカ肉がよく合う。「エゾシカ肉が初めての方も食べやすいと、おかげさまで好評です」と、店長の菊地康博さん(24)。

     割り下がよくしみた木綿豆腐は、ご近所の丸山豆富店から仕入れている。締めはうどんではなく、田舎そば。太打ちのそばの香ばしさが、こうも合うとは驚きだ。

     店内はカウンター中心だが、テーブル2卓と4人用の半個室も用意。今宵こよいの口開けや締めにふらり立ち寄るのはもちろん、しっかり食べたい派にも満足度が高い一軒である。

     (文・小西由稀 写真・赤塚愛実)

    【住 所】 札幌市中央区大通西23丁目2(南向き)グリーンマンション熊谷1階 (電)011・676・3808

    【営業時間】 午後5時30分~午前1時。日曜休

    【主なメニュー】 エゾシカのすき焼き1800円、締めの田舎そば300円、トロサバの炙(あぶ)りとポテサラ800円、フランス産鴨(かも)のメンチカツ400円、グラスワイン500円~、生ビール500円

     ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2016年04月28日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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