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    釣りいさき炭焼 ◎居酒屋とくさ(札幌市中央区)

    旨み引き出す シソみそ

    • 北海道では珍しい魚を使った「釣りいさき炭焼」
      北海道では珍しい魚を使った「釣りいさき炭焼」

     長らく酒を飲んできた経験から言わせてもらうと、居酒屋には大きく分けて3タイプあると思う。第1は一人でもゆっくり飲める店、第2は仲間とワイワイ飲める店、第3は夫婦や恋人同士などカップルで静かに語らいながら飲める店である。

     その3番目にぴったりなのが、札幌の繁華街から離れたマンション1階にある居酒屋「とくさ」。店内に足を踏み入れると目を奪われるのが、グランドピアノ形にカーブした8人ほど座れるカウンターと、中央に鎮座する黒いピアノ。その右手奥に4人用卓が二つ並ぶ座敷があり、厨房ちゅうぼうでは店主で板前のこうじ哲也さん(43)が黙々と包丁を動かす。

     札幌生まれの糀さんは高校卒業後、IT関係の会社に就職。4年後に転身して、懐石料理店を皮切りにこの世界へ飛び込んだ。「手を使うことが好きだったので、僕には自然な道筋でした」と話す。いくつかの店を経て、ピアノ教室の教師も務める妻の美絵さん(37)とともに、この店をオープンしたのは2008年のこと。

     居酒屋メニューを中心に季節の一品料理をそろえるが、北海道では珍しい魚介や野菜を使うのが特徴だ。そんな夏メニューおススメの一品が、「釣りいさき炭焼」。この白身魚は、マダイより軟らかくて脂肪が多い。名前は磯にすむことに由来するといわれ、漢字では「伊佐木」と書く。関東以南でとれるが、水揚げは長崎が一番多いという。

     炭火焼きの身を初めて食べてみたが、ふっくらとしながら歯ごたえのある締まり具合で、手作りのシソみそと食せば、うまみがじわりと伝わってくる。カリカリに焼かれた皮も絶品で、皮好きにはたまらない。付け合わせの焼きナスもほどよい焼き加減で、するりとおなかに収まり日本酒が進みそう。

     そんな酒好きの期待に応えるかのように、「而今じこん」「悦凱陣よろこびがいじん」「二世古」など純米吟醸を中心に約15種類の地酒を常備する。毎月新種も登場し、これまで提供してきた地酒のラベル約150種が壁に飾られ、実に豪華絢爛けんらんである。

     BGMにピアノのソロ演奏が流れ、静謐せいひつな空気が漂う中、吟味された地酒を飲みながら気の利いた一品を味わえば、気分は上々。親密な会話を交わしながら、旨い料理を堪能できるからだ。なお、店名の「とくさ」とは、円柱形の細長い茎が直立するトクサ科の常緑多年草にちなむそうだ。

     (文・和田由美 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区北5西21、長内マンション1階 (電)011・612・8158

    【営業時間】 午後6時~午前0時(ラストオーダー午後11時)。日曜、祝日の月曜休

    【主なメニュー】 釣りいさき炭焼950円、あげたて厚揚げ500円、お造り盛り合わせ(1人前)1000円、イチジクチーズ450円、ラーメンサラダ600円、生ビール(サッポロ黒ラベル)500円、地酒550円~

     ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2016年06月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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