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    酒菜の盛り合わせ ◎魚菜(札幌市中央区)

    旬の魚介 多彩に調理

    • 人気の「酒菜の盛り合わせ」。日替わりで素材や味のバランスに配慮して見繕ってくれる
      人気の「酒菜の盛り合わせ」。日替わりで素材や味のバランスに配慮して見繕ってくれる

     20代から酒場に通っているが、「いい居酒屋」の条件は、年齢とともに少しずつ変化してきた。そして、日本酒の味が分かり始めた40代の今、グッとくるのが、この「魚菜(ぎょさい)」だ。

     店主の森文三さん・常美さん夫婦が二人三脚で切り盛りし、今年12月に20周年を迎える小さな居酒屋だが、実は「居酒屋大全」などの著者として知られる太田和彦氏をはじめ、全国各地から左党が足を運ぶ、隠れた名店なのだ。

     メニューは、「魚菜」という店名通り、旬の魚介類と野菜を使った季節感あふれる一品料理が主役。酒飲みならば、店内の壁にずらりと貼られた地酒のラベルと、筆文字の品書きを一瞥いちべつしただけで、期待に胸が躍ってしまうことだろう。

     毎朝、市場の仲卸で仕入れるという魚介類は、け締めの刺し身や焼き物、煮物など多彩な品がそろう。今の時期は、内浦湾の天然ヒラメや余市のスルメイカ、苫小牧のホッキなど道産物が中心だが、「北海道産にこだわっているわけではなく、その時々で一番いい産地の食材を、吟味して仕入れているだけ」と森さん。

     タラコを大吟醸酒のもろみかすに漬けた自家製の珍味や、八丈島から仕入れる特注の「焼くさや」など、他ではなかなかお目にかかれない酒肴しゅこうにも、酒飲みのツボがくすぐられる。

     メニュー選びに迷ったら、まずは森さんがその日のおすすめ6、7品を見繕ってくれる「酒菜の盛り合わせ」を注文したい。この日は、活ダコのやわらか煮に、半生の食感が絶妙なホタテの梅煮、仙鳳趾カキの山椒さんしょう煮、タラコの大吟醸粕漬け、ホッカイシマエビの浜ゆで、余市産朝採りキュウリのもろきゅう、だだ茶豆と、晩夏の味が中心。

     どれも1品ごとに、妥協のない食材選びと、素材の持ち味を熟知した上での丁寧な仕事ぶりがうかがえる。甘み、塩気、酸味など味の変化も心憎く、ついさかずきを重ねてしまう。

     「私自身も大の日本酒好き。自然と“お酒に合う”味付けが基準になってしまうんですよ」と森さん。

     全国各地の蔵元や酒販店と長年親交を深め、独自のルートで仕入れる地酒のラインアップも、常連客をき付ける理由の一つだ。

     うまいさかなで、うまい酒をちびりちびり。訪れるたび、そんな大人の酒に浸っている。

     (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南3西5 三条美松ビル4階 (電)011・210・8588

    【営業時間】 午後5時~11時(ラストオーダー10時30分)。日曜休(翌月曜が祝日の場合は日・月曜休)

    【主なメニュー】 おまかせ料理5品(1人前)2592円~、酒菜の盛り合わせ(1人前)1296円~、刺し身盛り合わせ1512円~、たこ桜煮やわらか煮842円、八丈島焼くさや864円、地酒(半合)410円~

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2016年09月01日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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