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    寿司のおまかせコース ◎鮨やしろ(札幌市中央区)

    道産ネタ 上品仕上げ

    • 備前の皿で出される寿司8貫に自家製クジラベーコン入りの前菜、マイタケのお吸い物が付くおまかせコース
      備前の皿で出される寿司8貫に自家製クジラベーコン入りの前菜、マイタケのお吸い物が付くおまかせコース

     寿司すしの激戦区といわれる札幌の円山エリアに、またしても名店がお目見えした。「すしやしろ」といい、地下鉄東西線円山公園駅から歩いて7分の場所にある。

     店内で目を引くのが、ひのきの一枚板を贅沢ぜいたくに使った真っ白なカウンター。その向こうのまな板にはりかけの本わさびがのり、初めての人は本格ぶりに懐具合が心配になるはず。でも、一品料理など6~7品におまかせ寿司(8貫)が付く「おまかせコース」もあるので、安心してカウンターに座れる。

     函館生まれの店主・古村春喜さん(65)は、地元の「鮨金総本店」を皮切りに東京の割烹かっぽう料理店などで修業。初めて独立した苫小牧を経て、札幌全日空ホテルの地下で寿司店を10年ほど営み、現在地で4年前に移転オープンした。

     現在は、大将の古村さんを筆頭に妻の千鶴子さん、娘の優季さん、息子の栄悟さんの家族4人で切り盛りする。

     前菜から始まるコースは、まず自家製クジラベーコンに注目。あぶら抜きされてシンプルな味わいだが、うまみを生かす適度な塩味が良く、酒のさかなにぴったり。今の時期だけとれる日本海のワタリガニは、甲羅を器にえ物で出され、その旨さたるや筆舌に尽くし難い。

     刺し身で出される何の変哲もない甘エビさえ、驚くほど爽やかな甘みがあって旨い。聞けば、「ヒラメと同じく、昆布締めにしているんです」と古村さん。

     一品料理を堪能するうち、本命の握りがお出まし。はけで「煮切り」をひと塗りする江戸前で出され、ガリも自家製である。11月半ばまでは淡泊な味わいのシシャモや珍しい北海シマエビの握りが味わえる。見逃せないのは白老牛のあぶり握りで、トロとはひと味違う濃厚さが病みつきに。出汁だしの利いたわん物も良く、流れるような手順と相まって、至福のひとときを過ごせるはずだ。

     古村さんは、本ワサビは登別温泉にある藤崎わさび園から取り寄せるなど、道産食材を使うよう心掛けている。そうした素朴さと野趣を生かしながら、洗練された上品な味わいに仕上げる腕前に感心させられる。

     店名は「友人が名付け親。“人が集まる”を意味する『社』にちなみ、北海道神宮にも近いことから決めました」と古村さん。カウンター7席にテーブル席三つという、こぢんまりとした店なので、必ず予約して利用したい。

     (文・和田由美 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区北1西23、クリオ表参道1階 (電)011・215・7123(予約専用は050・5869・7493)

    【営業時間】 昼は午前11時~午後0時30分頃(シャリが切れ次第)、夜は午後5時30分~午後9時で、ラストオーダーは午後8時30分。水曜と月に1回火曜は休み。ランチは定休日のほか木曜も休み。

    【主なメニュー】 おまかせコース8000円と1万2000円、にぎり上(12貫)3500円、特上(14貫)4000円、北海ちらし3500円、刺盛2500円から、ランチ(予約不可)1200円から、生ビール600円、地酒600円から。いずれも税別

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2016年10月13日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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