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    札幌生きんつば ◎手練りだんご「げんき庵」(札幌市中央区)

    きな粉と餡 甘み一体

    • 手前が「札幌生きんつば」、真空パックなので10日間も日持ちする
      手前が「札幌生きんつば」、真空パックなので10日間も日持ちする

     手練りだんご「げんきあん」は、ループ化されて乗客が増加中の札幌市電に乗り、電停「西線11条」で降りると、すぐ目の前にある。

     ここで4種類ある箱入りの「山鼻箱だんご」をメインに製造・販売している。最近売り切れることしばしばという隠れた人気を集めるのが「札幌生きんつば」だ。

     ひと口サイズのきんつば(表面を焼かない生あん)に、道産大豆を100%使う無添加・無着色のきな粉をまぶして食べるだけだが、これが実に良い味わい。

     シンプルな小豆餡でありながら控えめな甘さの中に滋味があふれ、特製きな粉と口の中で混然一体となり、甘みワールドを生み出す。一つ、また一つと口に放り込み、いつの間にか箱が空っぽになってしまうほど止まらないのは困るが……。

     この生きんつばを考案したのが「きなこ菓子工房」代表の本間勝司さん(51)。大学卒業後、札幌市内の建築資材メーカーに10年ほど勤めるが、病気で入院。それを機にいずれ自分で商いをと思い立ち、転職して市内の和菓子屋で修業する。「餡づけやだんご練りなど、徹底して教わりましたね」と本間さん。

     そこに、名人芸と言われる技量をもつ“きなこねじり(棒状の練り菓子)”の職人がいた。「簡単に見えますが、昔懐かしい手づくりのきなこねじりは、その日の湿度や温度によって火の入れ方が異なり、軟らかさを保ちながら弾力を残すのはとても難しい」

     その後、和菓子屋が倒産したため、本間さんはこの名人職人と1998年に手稲区の手稲富丘で「きなこ菓子工房」を創業する。きなこねじりを中心に全国の物産展で販売して大好評を博し、次なる新製品を求められた。

     そこで、餡生地にきな粉をまぶして味見したところ、実にうまい。しかし、小さなサイズでは外側を焼くのは難しかった。そこで試行錯誤の末、表面を黒ゴマで固めた生餡のまま使う、新しいタイプの生きんつばになったというわけだ。

     さて、きなこ菓子工房と、障害のある人たちが働く一般社団法人「源輝げんき」が業務提携し、このアンテナショップの「げんき庵」を開店したのは昨年8月のこと。札幌生きんつばは、午前中に売り切れになることも多いが、予約も受け付ける。早くも札幌名物となる予感のする新タイプの生きんつばはもとより、丹精込めて作られるきなこねじりやおだんごも美味。ぜひ一度お試しあれ!

     (文・和田由美 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南11西14 (電)070・5049・0157

    【営業時間】 午前11時~午後5時。だんごが売り切れ次第閉店。日曜休だが、そのほかに臨時休業あり

    【主なメニュー】 札幌生きんつば(9個入り)580円、きなこねじり(大豆・ごま・抹茶・香煎)各330円、わらびもち(きな粉・抹茶きな粉)各300円、山鼻箱だんご(ごまだれ・しょうゆだれ・小豆あん・えんどうあん)各370円

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2016年11月10日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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