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    おばんざい ◎とのと(札幌市中央区)

    素朴でホッと 総菜8種

    • カウンターに配された木製ケースに、8種類のおばんざいが彩りよく並ぶ
      カウンターに配された木製ケースに、8種類のおばんざいが彩りよく並ぶ

     外食が続くと、ふと母の食卓に並ぶ気取りのない味が恋しくなるが、スーパーで簡単に手に入るパック入りの総菜では、なんだか味気ない。そんな時、一人でふらりと暖簾のれんをくぐるのが、昨年8月に円山にオープンした「とのと」だ。

     「『何のお店?』とよく聞かれるのですが、ジャンルの線引きはしていません。お客さんに食べてほしい料理を素直に作って、少しずつ店の輪郭ができ上がっていったらいいなと思います」と店主の高木章子さん。

     常連客と談笑しつつ、一人でテキパキと注文をこなす高木さんだが、実は飲食業の経営は初めてという。

     「数年前に高校の同窓会で、みんなが気軽に集まれる場所があったらいいねと盛り上がって。もともと料理が大好きで、福祉施設の調理場でも長年働いていたこともあり、私が店をやってみようかなと。よもやま話がきっかけなんです」

     カウンターには、八つの中鉢に盛られた「本日のおばんざい」が並び、ここからお通しとして好きな総菜2品を選べる。内容は日によって異なるが、切り干し大根やポテトサラダ、フキの煮物、ヒジキのサラダ、ブロッコリーとゆで卵のゴマえなど、どれも素朴でホッとする味わいだ。

     「開店当初は気張って凝った料理も作っていたんですが、お客さんに一番喜ばれたのが飾り気のない、ごく普通の総菜でした」

     メニューはサバの味噌みそ煮やサンマの梅煮など定番の煮魚から、刺し身、カツとじ、生姜しょうが焼き、麺類までと幅広く、仕入れによって黒板のメニューが入れ替わる。ご飯や味噌汁もあり、鶏肉やゴボウなど具だくさんの炊き込みご飯は、お酒の締めにも人気の一品とか。

     お通しの総菜と1、2品をつまみにちょっと一杯の人もいれば、メインのおかずにご飯と味噌汁でしっかり胃袋を満たす人も。それぞれが気兼ねなく思い思いに料理を楽しむ。人数やおなかの具合に合わせて、1品の量をさりげなく調整してくれるのもうれしい配慮だ。

     「メニューにない物も材料さえあれば何でも作ります。お客さんにも、つい自分の子どもみたいにいろいろ食べさせたくなっちゃって。“食べさせたがり”なんです」と笑う高木さん。

     「とのと」の暖簾の先には「ただいま」と言いたくなる味と包容力がある。

    (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区大通西23の2の8 グリーンマンション熊谷1階

    (電)011・616・1100

    【営業時間】 午後5時半~11時 定休日は水曜(翌日が祝日の場合は営業)

    【主なメニュー】 お通し(2品)500円、サバの味噌煮600円、ハムカツ300円、豚チーズトマト煮700円、カツとじ800円、炊き込みご飯650円(いずれも税別)など

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年01月12日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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