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    石狩産キクイモとフランス産フォアグラ ◎french restaurant banquet(札幌市中央区)

    甘くねっとり 春気分

    • 3月のコースの一品「石狩産キクイモとフランス産フォアグラ」。キクイモはでんぷんをあまり含まず、ショウガのような形をしている
      3月のコースの一品「石狩産キクイモとフランス産フォアグラ」。キクイモはでんぷんをあまり含まず、ショウガのような形をしている

     公私で飲食店を巡っていてワクワクするのは、初めての食材、面白い食材の組み合わせ、新しい調理法に出合った時だ。先日も、札幌市中央区の「フレンチレストラン バンケット」で食べた「キクイモ」のおいしさに驚いた。

     キクイモはここ数年、健康野菜として注目を集めているが、含まれている成分の効能に話が終始し、味の良い野菜というニュアンスは感じられずにいた。

     ところが、である。

     「フランスでは“トピナンブール”と呼ばれ、家庭でもレストランでも親しまれるおいしい野菜です。ポタージュにすると最高ですよ」とオーナーシェフの若杉幸平さんは説明する。フランスでの修業時代、よく使っていた懐かしい味で、「最近のブームで北海道産が手に入りやすくなり、うれしい」と笑顔を見せる。

     「石狩産キクイモとフランス産フォアグラ」は、この時期、昼と夜のコースの温かい前菜として登場する。

     一番下にはキクイモと生クリームのソースを敷き、その上に焼いたフォアグラ、ラードの中でじっくり火を通したキクイモをのせ、小菊と花穂はなほしそを散らした。味付けは塩のみとシンプルだ。

     コンフィにしたキクイモは、ねっとりとした食感が印象的で、濃厚な甘さが鮮烈だ。「フォアグラは土っぽい野菜と相性がいい」という若杉シェフの言葉の通り、フォアグラの脂のコクがキクイモにそっと寄り添う。

     一見、フォアグラが主役に見える料理だが、間違いなく、滋味深いキクイモを主役に仕立てたひと皿だ。そして、花穂しその爽やかな香りが不思議にマッチし、気分を春に近づける。

     「フランスで学んだ伝統的な料理を北海道の多彩な食材で置き換え、よりおいしく表現したい」。そう語る若杉シェフの思いが伝わる一品でもある。

     店は、地下鉄東西線西18丁目駅から徒歩6分ほどの場所にある。奥行きのある長方形の空間は「オープンキッチンから各テーブルの様子を確認しながら、心を込めたもてなしができるように」との思いから設計したという。

     祝いの席が増えるこの季節、ゆったりとおいしい時間を囲むのにおすすめの一軒である。

    (文・小西由稀 写真・山本顕史)

    【住 所】 札幌市中央区南4西18 ピュアコート円山1階(西向き) (電)011・562・1221(要予約)

    【営業時間】 昼は正午からで、オーダーストップ午後1時半、夜は午後6時からで、同9時。月曜と火曜定休(3月2日は臨時休業)

    【主なメニュー】 キクイモの料理が入るのは、昼4500円、夜8000円のシェフおまかせのコース。そのほかは昼2800円、夜5000円のコースを用意

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年03月02日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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