文字サイズ

    双子山鍋 ◎双子山しょうじ(札幌市中央区)

    魚介の宝探し 心も温か

    • 5400円の双子山鍋コース。お通し、小鉢、刺し身、焼き物に加え、季節の2品が付く
      5400円の双子山鍋コース。お通し、小鉢、刺し身、焼き物に加え、季節の2品が付く

     暦は弥生。わずかに春の足音が聞こえる日もあるが、まだまだてつく夜には、体の芯から温まる鍋料理が恋しくなる。自宅でも手間をかけずに味わえるのが鍋料理の手軽さではあるが、冬が訪れると、わざわざ足を運んでしまう店がある。

     ススキノ中心部で暖簾のれんを掲げる「双子山しょうじ」は、和食一筋40年のベテラン料理人・斎藤章二さん(58)が営む和食店だ。斎藤さんは深川市生まれ。19歳で調理師学校を卒業した後は、札幌のすし店や和食店で腕を磨き、郷土料理の名店「双子山」では23年間も料理長を務めた。そして「双子山」の閉店を機に、その名を受け継ぎ、この店を開いて9年目になる。

     メニューの主役を務めるのは、それぞれの得意分野に精通した魚のプロから毎日仕入れる、鮮度抜群の魚介類だ。カウンターのガラスケースには、すし店にも劣らない旬の魚介がずらりと並び、生けでは、毛ガニや花咲ガニが元気に動き回っている。

     「魚介の質には、とことんこだわっています。長年贔屓ひいきにしてもらっているお客さんを裏切れませんから」と斎藤さん。

     その日のおすすめで見繕ってくれる刺し身盛り合わせや酒のさかなが人気だが、この季節は、熱かんさかずきを片手に、冬季(11~3月)限定の鍋料理をつつきたい。

     なかでも、私のお気に入りは、タラやタチ、アサリにホタテ、ツブ、タラバガニ、カキなど、10種類以上の魚介類を使った味噌みそ仕立ての「双子山鍋」だ。卓上のコンロに置かれた鍋を前に待つこと数分――。ふたを開けると、真っ白い湯気とともに、何層にも重なった魚介の香りがあふれ出す。スープをひと口すすると、コンブやカツオの風味の奥に、ホタテの甘味やカキのエキス、ゴボウの香りなど、さまざまな食材の味が溶け合い、思わずため息がもれる。どこをつついても違った魚介が出てくる、宝探しのような感覚も楽しい。

     鍋を十分に堪能した後は、締めの雑炊。魚介のうま味が凝縮したスープを、ご飯があますところなく吸い込み、これがまたなんともうまい。

     3月末までは、クエやアンコウ、フグの鍋が味わえるコースも楽しめる。

     少し汗ばむほどに体が温まり、外へ出ると、ほてった頬に冷気が心地よい。これも鍋料理の醍醐だいご味か。

     (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南6西3 おおたビル3階 (電)011・533・3017

    【営業時間】 午後5時30分~午後11時(ラストオーダーは午後10時30分)。定休日は日曜、祝日(連休の場合は要問い合わせ)

    【主なメニュー】 双子山名物大和蒸し1296円、しまほっけ焼き1080円、おまかせ刺し身盛り(2人前)6480円、活たこの岩塩プレート焼き1296円、くえ鍋コース6480円など

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年03月09日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ