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    菜の花と自家製 からすみのパスタ ◎旬采割烹「くるみ澤」(札幌市中央区)

    春感じる逸品 酒肴にも

    • 一足先に春を体感できる「菜の花と自家製からすみのパスタ」
      一足先に春を体感できる「菜の花と自家製からすみのパスタ」

     市電・中島公園通の停留場から徒歩1分の「くるみ澤」は一見すると、初めての客には敷居が高そうな割烹かっぽう料理店。ところが、思い切って足を踏み入れると、店主で板長の楜澤裕司さん(48)がにこやかに出迎えてくれるので、心配ない。

     芽室町出身の楜澤さんは東京の料理専門学校で学び、イタリア料理店や、かつて浦安のホテル内にあった「なだ万」での修業を経て札幌へ。旧ルネッサンス・サッポロ・ホテルの和食店「花城」で20年余り板前を務め、2014年に独立して、この店を開いた。

     店造りで心を砕いたのはカウンターの位置。フロアより一段高くして、厨房ちゅうぼうと同じ目線になるように設計した。「お客さんを見下ろすのが嫌だったんです」と楜澤さん。そんなゆったりとした空間が、料理のうまさを助長してくれる。

     春が待ち遠しい、この時期に賞味したいのが、露地物の菜の花と例年11月に仕込む自家製のからすみを使った「菜の花と自家製からすみのパスタ」。熟成チーズにも似たからすみの濃厚な味わいと、菜の花のほのかなエグミが独特な滋味を生み出し、すぐそこまで来た春をいち早く感じられる。

     とはいえ、自家製からすみを作るのは大変だ。冬前に九州からボラの卵を取り寄せて塩漬けにするが、細かい血抜きが難しく、針まで使って丸1日かけることもあるという。これだけ手間ひまかけるだけあって、酒肴しゅこうにも最適の逸品だ。

     また、コゴミやハマボウフウなど、春の山菜をふんだんに使った本格的なコース料理も用意する。が、自身も食べることが好きなので、「お客さんの要望に応えるうち、つい単品メニューが増えてしまいました」と苦笑する。お茶事用の懐石弁当やおせち料理までこなす腕だからこそ、余裕を持って新メニューを創作できるのだろう。中でも、隠れた人気の「ズワイがにのクリームコロッケ」は見逃せない。

     酒選びのセンスも良く、「むろか酒」(長野)や「土佐金蔵」(高知)、「飛良泉」(秋田)などの地酒が並ぶ。また最近は、和食にワインを合わせる人が急増しているそうで、フランス産をはじめ、イタリア、スペイン、チリと幅広くそろえる。

     料理のよろこびをたずねると、楜澤さんは「一番うれしいのは“個性的な味”と言われるより、率直に“オイシイ”と言われることですね」。まだまだ創作意欲は旺盛なので、今後が楽しみな店だ。

    (文・和田由美 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市中央区南11西6 SKビル1階 (電)011・596・7557

    【営業時間】 午後5時30分~午後10時30分。水曜・祝日休

    【主なメニュー】 菜の花と自家製からすみのパスタ1200円、自家製からすみ1400円、ズワイ蟹のクリームコロッケ800円、料理長おまかせコース(全7品、2人以上、前日まで予約)4000円から、地酒1合500円から、ワイン赤・白580円から、お通し代500円

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年03月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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