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    羊トリッパ トマト煮込み◎Sessione(セッシオーネ)札幌市中央区

    食材の個性 香りで包む

    • 熱で溶けて半透明になったチーズが食欲をそそる「白糠・茶路めん羊牧場産 羊トリッパトマト煮込み」
      熱で溶けて半透明になったチーズが食欲をそそる「白糠・茶路めん羊牧場産 羊トリッパトマト煮込み」

     札幌市中央区の二条市場の裏手に、カウンターだけの小さなイタリア料理店がある。黒板メニューに魚料理は見当たらない。

     「魚は好きです。でも、刺し身ならカルパッチョより醤油しょうゆで食べたい。そう思っているので、イタリア料理でよりおいしく表現できるもの以外、つくりません」

     そう潔く語るのは「セッシオーネ」のシェフ、政氏勝人さんだ。札幌と東京で経験を積み、昨年12月に念願の独立を果たした。

     政氏シェフが得意とするのが、力強い食材。「味がしっかりした素材は、素材同士がいい意味で競い合い、ここに調味料を重ねても、互いに負けない。そこにかれます」と、説明する。

     力強いと聞くと、ガツンと濃く強い味の料理を想像するかもしれないが、それとは少し違う。「香りの出し方に気を使う」という言葉の通り、香りの輪郭がはっきりしていて、香りの組み合わせにはっとなる。そんな印象なのだ。

     例えば、「白糠・茶路めん羊牧場産 羊トリッパ(胃袋)トマト煮込み」は、イタリアンの定番料理だが、政氏さんのものは、ひと味もふた味も違う。

     セロリや玉ネギなどの香味野菜は、じっくりいためると甘味やうま味が出てしまうので、一気に余分な水分を飛ばして香りを引き出すことに注力する。この香りをトリッパにまとわせるのが肝心だという。

     ホールトマトもつぶさずに入れ、蒸し焼きにしながら味を凝縮。その後に全体を混ぜ合わせるので、トマトの風味が立つ。

     仕上げはオーブンで表面を焼きつけ、熟成香のあるペコリーノ・チーズのスライスをのせて完成だ。

     トリッパは軟らかいだけではなく、歯切れが良く香ばしさもある。味わいにも食感にも変化があって、楽しいひと皿になっている。ワインにもよく合うし、薪窯で焼いているニセコ「奥土農場」の黒豆パンにのせてほお張ると最高である。

     前菜、パスタ、肉料理はそれぞれボリュームたっぷりだが、1人客には半分の量で提供してくれるのが、うれしい。

     力強さの裏には繊細な仕事あり。そんなイタリア料理の新店は、席数わずか11席なので、予約をして出かけるのがおすすめだ。

    (文・小西由稀 写真・岩浪睦)

    【住 所】 札幌市中央区南3東1の5の1の2(電)011・200・9450

    【営業時間】 午後5時~午前0時、日曜定休

    【主なメニュー】 「白糠・茶路めん羊牧場産 羊トリッパトマト煮込み」が1400円、「ニセコ奥土農場黒豆パン」が150円、「強い味野菜のサラダ」は750円、パスタ1400円から、肉料理2000円前後から、グラスワイン600円から

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年05月18日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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