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    旭高砂牛ミスジとアキレス腱クレソンの麻辣酢 ◎中国料理 月下翁(札幌市中央区)

    肉ほろり 後追う辛さ

    • 「旭高砂牛ミスジとアキレス腱 クレソンの麻辣酢」は2~3人前で取り分けて楽しめるボリュームだ
      「旭高砂牛ミスジとアキレス腱 クレソンの麻辣酢」は2~3人前で取り分けて楽しめるボリュームだ

     ご飯を呼ぶし、お酒も進む。真に魅力的な中国料理は、どちらとも相性がいいものだ。そんな料理観にぴったりな、お店が4月下旬、札幌市中央区にオープンした。「中国料理 月下翁」と書き、“げっかおう”と読む。中華系の縁結びの神様の名前を付けたというから、これまた興味深い。

     シェフの高橋裕一さんは東京の有名店で研鑽けんさんを積み、札幌の人気店で料理長を務めた経歴の持ち主。化学調味料に頼らず、最小限の味つけで素材の持ち味をじっくり引き出すスタイルを得意としている。

     もう一つ特徴的なのは、中国料理でよく見る鍋をあおるような派手な動きはほとんどしない、“静”の料理人であること。鍋の中を見守るように、火の前にじっと立っていることが多い。「待つことで生まれるおいしさもあるんです」と、笑顔で説明する。

     おすすめの「旭高砂牛ミスジとアキレスけん クレソンの麻辣マーラー酢」も、そんなひと皿である。旭高砂牛とは、旭川市にある高砂酒造の酒かすを食べて育ったホルスタインのブランド牛のこと。

     肩胛骨けんこうこつの内側にある希少部位のミスジと牛スジを、ひとつまみの塩だけを加えた鶏と豚のスープで4時間、軟らかく炊いて、下ごしらえをする。さらにクレソンを加えてスープごと蒸し上げ、山椒さんしょう豆鼓トウチでつくる麻辣酢をたっぷりとかける。

     四川料理特有の真っ赤な色と香りにゴクリと喉が鳴る。たまらずほお張ると、ほどけていく軟らかな牛肉を、麻辣酢のうま辛な味わいが追いかける。ほんのり利かせた酸がまた、食欲をそそるのだ。ご飯にのせてがっつきたいし、ビールや紹興酒にも合わせたい。

     さらにこの料理、牛肉とクレソンのうま味を受け止めたスープも、後から提供してくれる。時間差で素材の魅力を丸ごと堪能できるのがうれしい。

     月に1度変わるメニューには「時鮭とアスパラ 山うどの豆鼓いため」、「滝川産合鴨あいがもと行者にんにくの焼きそば」など、北海道の季節を映す食材を多く使っている。

     運命の赤い糸という言葉があるが、月下翁がその糸の行方を采配しているらしい。食材、料理、お酒、どんな運命の出会いが待っているのか、楽しみな一軒である。

     (文・小西由稀 写真・山本顕史)

    【住 所】 札幌市中央区南3西3、「G DINING SAPPORO」地下1階(南3条通り側入り口)(電)011・215・1017

    【営業時間】 午後6時~午前0時(金、土曜は午前2時まで、オーダーストップは各30分前)、日曜定休(月曜が祝日の場合は日曜営業で、月曜休み)

    【主なメニュー】 旭高砂牛ミスジとアキレス腱 クレソンの麻辣酢2100円、麻辣豆腐1200円から、滝川産合鴨と行者にんにくの焼きそば1200円、ビール650円、紹興酒600円から

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年06月01日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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