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    刺し身の盛り合わせ ◎あさぶの居酒屋 八十吉(札幌市北区)

    四国や九州 旬の魚並ぶ

    • 「刺し身の盛り合わせ」が1人前860円から(写真は2人前)で、「かにみそのレバパテ」は590円
      「刺し身の盛り合わせ」が1人前860円から(写真は2人前)で、「かにみそのレバパテ」は590円

     マテ貝、オジサン、アカザエビ、メゴチ、イトヨリ……。どれも北海道では馴染なじみの薄い魚介だが、これらが主役の居酒屋がある。

     地下鉄南北線の終着、麻生駅1番出口そばの路地に暖簾のれんを掲げる「八十吉やそきち」だ。

     店主の竹田吉啓よしひろさん(42)は礼文島出身。東京・赤坂にある四条流の割烹かっぽう料理店や焼き鳥の名店などで和食一筋に修業を積み、北海道へ帰郷してからは、道産食材のバイヤーも経験。6年前にこの店を開いた。

     割烹料理ではなく、居酒屋というスタイルを選んだ理由は「お客さんと向き合いながら、話せて調理できる、肩肘張らない店が、僕の性に合っていると思って」と微笑ほほえむ竹田さん。

     開店当初は、北海道産の魚介類を中心に扱っていたが、「お客さんの声を聞くうちに、札幌ではなかなか味わえない、本州や四国、九州の魚介の方が喜んでもらえるとわかりました」。

     そこで、東京時代に築いた仕入れルートを生かし、三重や山口、大分、新潟など、全国各地の漁師や漁業組合まで、その幅を少しずつ広げてきたという。

     「各地の漁港を毎年訪ね、漁に同行させてもらったり、お酒を酌み交わしたりと、親交を深めています」

     そんな各地のブレーンから届く魚介類は、竹田さんが筆で記す日替わりメニューにずらりと並ぶ。天ぷらや焼き物、干物などもそろうが、初めて訪れるなら、その日のおすすめを見繕ってくれる「刺し身の盛り合わせ」をオーダーしたい。

     例えばこの日は、ユニークな名前とは裏腹に繊細で甘みをまとった「オジサン」や、脂の乗った「イサキ」、皮霜かわしも造りの「コブダイ」など8種類。初めて口にする魚もあり、箸を運ぶ度、食感や味わいの違いに胸が躍る。

     そのほか、カウンターの周囲に所狭しと貼り付けられた、多彩な一品料理も、リピーターを誘う魅力の一つ。鶏の白レバーとカニ味噌みそ、野菜のペーストを合わせた「かにみそのレバパテ」や、甘酸っぱいマリネ液に一晩漬けた「トマトのレモンづけ」など、一ひねり利かせた竹田さんならではのアイデアが盛り込まれている。

     全国各地の地酒は、瓶替えで季節限定酒なども入荷し、常時12種類ほど。

     北海道に居ながら、津々浦々の旬の魚と酒を味わえる。まるで旅する居酒屋だ。

     (文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)

    【住 所】 札幌市北区麻生町5の7の3 5丁目ビル1階、(電)011・716・6565

    【営業時間】 午後5時30分~午前0時、定休日は日曜と祝日

    【主なメニュー】 トマトのレモンづけ400円、チーズ春巻き480円、自家製さんしょう味噌豚600円。〈本日のおすすめ〉からは、マテ貝酒蒸し580円、おじさん焼き1280円、ほうぼう刺し610円など

    ※メニュー、価格などは変更されている場合があります。

    2017年06月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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