カスベのラビオリ ◎レストラン オプトゥニール ケイ/Restaurant obtenir K(札幌市中央区)
中に煮汁 エイの小籠包
視点を変えると、新たな世界が広がる――。そんな思いで北海道産食材の魅力を引き出しているのが、フランス料理店「レストラン オプトゥニール ケイ」の藤谷圭介シェフだ。
道南の港町、江差町の出身。父親は腕利きのイカ漁師で、子どもの頃から海と魚料理に親しんで育ったという。
東京、フランス、札幌で修業を積み、26歳の若さで札幌のグランメゾンの3代目シェフに就任。そして、今春、中央区狸小路に同店を開いた。店名の「オプトゥニール」はフランス語で“創り出す”という意味を持つ。
ケイのコース料理の特徴は、メインの肉料理までの間、魚介類と野菜を使った料理が続くこと。なかには和を感じる一品もあり、親しみ深い。
「魚や野菜の方が、アイデアが浮かび、旬を表現しやすい。海に囲まれ、川や湖が多い北海道、まだまだ知られていない魚介類の魅力を表に出していきたい」と思いを込める。
この時期、コース料理の温かい前菜で「カスベのラビオリ」が登場する。
北海道ではお
カスベは、優しくじんわりと火を加えることがポイントだという。野菜のブイヨンを沸騰させて火を止め、カスベを入れる。余熱だけで火を通すのだ。そして、身をはずした軟骨を魚介のスープで煮出し、煮こごりをつくる。留萌市で栽培されている「ルルロッソ」という品種の小麦粉で作った生地で、身と煮こごりを包むのだ。
「“カスベの
ソースはカスベと相性の良いバターソースだが、シェリービネガーのしっかりとした酸味を利かせているので、爽やかな印象だ。
夏場は上ノ国町の天の川で釣った天然アユ、旬のアワビなども、楽しみな食材だという。新たな価値を創造する藤谷シェフが紡ぐ料理に、目が離せない。
(文・小西由稀 写真・細野美智恵)
【住 所】 札幌市中央区南3西5の36の1、F.Dress五番街ビル5階 (電)011・222・7030
【営業時間】 昼は正午からで、オーダーストップは午後1時30分(土、日曜のみ)、夜は午後6時からで、オーダーストップは同10時。月曜休み
【主なメニュー】 夜のコースは5000~1万3000円、ランチのコースは4000円からで、セットは2500円から
※メニュー、価格などは変更されている場合があります。