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    鵜飼い詠んだ家持の歌碑

    「万葉集」 鵜坂神社(富山市)

    • 緑まぶしい鵜坂神社。約2000年前の創建とされる古社だ
      緑まぶしい鵜坂神社。約2000年前の創建とされる古社だ
    • 大伴家持歌碑。神通川で鵜飼いをする人を見て詠んだ一首とされる
      大伴家持歌碑。神通川で鵜飼いをする人を見て詠んだ一首とされる

     神通川の川面が光を反射して輝く。ああ、今日は立山連峰もきれいに見えるなあ。鵜坂バス停近くにある万葉歌碑の写真を撮ろうと堤防に上り、雄大な景色にしばし見とれた。大伴家持もこうして立山を仰いだのかもしれないと、万葉のころへと思いをはせる。

     天平20年(748年)春、国守として管内を巡行した大伴家持は、越中各地の風物を万葉集に残している。婦負の郡ではこの辺りを通ったのだろうか、歌碑には鵜坂川(神通川)を馬で渡ったおりに詠んだ一首が刻まれている。

     堤防の西側に広がるこんもりとした森が鵜坂神社だ。約2000年前の創建とされる古社で、越乃大社として信仰を集めてきた。平安時代から江戸時代まで行われていた「しもと祭」は五大奇祭に数えられ、全国的に知られていたという。

     うわあ、さすが五大奇祭、芭蕉の耳にまで鵜坂の名が届いていたのか。芭蕉が「しもと祭」を詠んだ句碑に目を見張る。「しもと祭」は尻打祭とも呼ばれ、女性の貞操を戒める神事だ。お尻を打たれるなんてとぎょっとしたが、安産や縁結びを願ったものと知り、ほっとする。

     境内には、家持が神通川での鵜飼うかいを見て詠んだ歌碑もある。いまから約1300年前、神通川では鵜飼いが行われていたのかと、かがり火に照らされる幻想的な光景を思い浮かべてみる。

     家持の見た鵜飼い漁を再現するイベント「第21回売比めひかわ鵜飼祭」が、26日に富山イノベーションパーク横の田島川(富山市婦中町島本郷)で開かれる。初夏の夜、ひととき万葉ロマンに浸ってみてはいかがだろう。

     

     ★「万葉集」

     7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれたとされる現存する日本最古の歌集。4500首以上の歌が集められ、代表的な選者と考えられている大伴家持は最多の473首を占める。うち半数近くが越中時代のものとされる。

    2018年05月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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