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1歩進んだエコ・デザイン

ユッカ・イソタロのガラスアイテム


ヘルシンキ市内のレストランから回収した、再使用できないガラス瓶を再利用してつくられる。本展では、グラス・ボトル・ボウル・キャンドルホルダーなど29アイテムを展示・販売予定。価格ボトル20,000円 ワイングラス4,200円など

北欧らしいアイテム、美しいキャンドルホルダー。価格3,400円?

JUKKA ISOTALO(ユッカ・イソタロ)氏。1962年フィンランド生まれ。ヘルシンキ市の公式訪問者へのギフトとして彼の作品が採用されたことで注目され、ロールスロイスなどの企業からもオファーを受けるようになった、実力派。作品を通してクラフトワークを世に広く知らしめた功績を評価され、2004年度デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞

 フィンランド選手のブルーのワンピース、ほんとに可愛かったですね! 北京オリンピック開会式の入場行進、お洋服の可愛さは北欧組が断トツだったような気がします。さわやか、涼しげ、シンプルでキュート。さすがフィンランド!

 というわけで、今回は迷わずフィンランド。美しく夏らしいガラス製品です。見た目も質感もさわやかなキャンドルホルダーやグラスをつくったのは、フィンランド生まれのデザイナー、ユッカ・イソタロ氏。リサイクルをテーマにデザイン活動を続け、2004年には国のデザイナー&メーカー協会が選ぶ“デザイン・オブ・ザ・イヤー”も受賞したことのある実力派です。

 “リサイクル”で“ガラス”というと普通、廃材となったガラス瓶をいったん高熱で溶かし、それを材料として新たに器やグラスをつくるというスタイルを思い浮かべますよね。身近なところで言うと沖縄の琉球ガラスとか。ですが、イソタロ氏は違う。さすがエコの国、もう1歩先を行ってます。フィンランドの首都・ヘルシンキ市内のレストランから回収したワインやレモネードのボトルを、溶かすんじゃなくてそのまま材料にする。つまり、手作業で研磨し、カットしたり他のかたちに見立てたりすることで、新しい作品に仕立てあげる。今ある製品をそのまま使うため、エネルギー消費は、熱で原材料を溶かす場合の数パーセントに抑えられるのだとか。

 「エネルギー消費が抑えられるならば、確かにエコ的には素晴らしいけど、でも、デザイン的にはそれでいいのか? だって、すでに存在するモノをそのまま使うんでしょう。デザイン面での制約が大きいというか、そもそも美しいのか、それは?」話だけ聞いた時点では、チラリとそんなふうにも思ってしまった私ですが、とんでもなく失礼な誤った考えでありました。どの作品も、とても美しく、きちんと新しい。

 当たり前だけれども、レストランで使う飲料ボトルなどの製品は、誰の目にも好ましく映り、どんな場面でも使いやすく、そして長く愛されなくてはいけない。ものすごい考察と研究と試作がくり返された末に生まれた、ひとつの美しい完成形であるはずです。そしてデザイナーっていうのは、ゼロから新しいかたちや色を生み出すことこそが本来の仕事と思われがちだけれど、でも本当は、世の中にある美しいものを見い出し、取りあげ、それに気づいてない私たちの目の前に差し出すことも、大きな使命。例えば、自然界の風景をモチーフにしたプロダクトをデザインしたり、昔から使われてきた農具や道具をあらたな視点でリデザインしたり。

 イソタロ氏の作品の魅力はもちろん、環境問題に対する先進的な姿勢にこそある。でも同時に感じるのは、ヘルシンキの街にあふれているのだろう“ありふれたモノ”に潜む美しさをすくいあげ、新たな生命を吹き込んでみせるデザインの力。いつも使っていたワインボトルが、実はこんなに美しい曲線や質感を持っていたんだって気づかせてくれる、デザイナーならではの力。

 さて、そんなイソタロ氏の作品が展示・販売されるのは、東京・西麻布にある「ギャラリー MITATE(みたて)」。タオルやバス用品など水まわりのアイテムを扱う、インテリア好き御用達ショップ「shop MITATE」の中にあるギャラリーです。地下にはバスルームやパウダールームのショールーム「le bain(ル・ベイン)」、同じ敷地内にはお茶&甘味の茶房が併設された和菓子のギフトショップ「ori HIGASHIYA」もあるので、ゆっくりたっぷり楽しめることうけ合い。オリンピック観戦も終盤となる来週19日からの予定に、是非加えてみてほしいのです。

ユッカ・イソタロ展
「Eco-Luxe Design 新たな生命を吹き込まれたボトル」
8月19日(火)?31日(日)

ギャラリー MITATE
東京都港区西麻布3-16-28 le bain 1階
03-3479-3842
11:00?19:00 (19日は13:00から、31日は17:00まで)
月曜定休
http://www.le-bain.com

プロフィール
輪湖 雅江  わこ・まさえ
インテリアエディター
1968年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒。大学卒業後アシェット婦人画報社入社。雑誌『モダンリビング』、『婦人画報』の編集者を経て2001年フリー編集者に。独立後は女性誌『Grazia』(講談社)のインテリアページを中心に、『I'm home』(商店建築社)などで活動中。住まいとインテリアだけでなく、料理やアート、クルマ、旅など"楽しく暮らす"に関する雑誌づくりがテーマ。

2008年8月13日  読売新聞)


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