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“遊びの出前”と自主イベントで子どもたちの交流を支える「しゃり」/千葉県市川市

しゃりの事務局「しゃりっこベースキャンプ」があるバプテスト北国分キリスト教会。2階の礼拝堂の半分を使って、おもちゃ図書館を開設する予定

 「子どもたちに遊びをプロデュースし、さまざまな体験の場や交流の場を提供する」

 そんなNPO法人が千葉県市川市にある。名前は「しゃり」。お寿司のネタのように、いろいろなネタ(遊び、イベントなど)をのせて地域社会に貢献していきたいという思いからつけられたという。

 「しゃり」が類似の団体と大きく違うのは、自閉症など何らかの障害を抱える子どもたちと健常児がいっしょに遊ぶイベントを企画・運営していることだ。

左からしゃりっこベースキャンプの運営コーディネーターの吉倉浩さん、コーチの西宮敬子さん(「にじの会」代表)、しゃり副理事長の武藤美江さん、コーチの中島保一さん

 「障害を持つお子さまと健常児がいっしょに遊ぶ機会はとても少ないのが現状です。みなさんに遊びを通して自主性を学んでほしい」。副理事長の武藤美江さんはこう話した。

 そんな「しゃり」には市川市やその周辺地域のさまざまな子育て団体(障害児の親の会、子ども会、保育園など)から“遊びの出前”のオファーが届く。平均して月1回。多い月は2、3回。高校生から60代まで125人のボランティアスタッフを持つ「しゃり」は、相手の求めに応じてイベントを企画し、“出前班”を組織して現地へと向かう。

 こうして「しゃり」は、1999年(平成11年)12月の発足以来、30以上の子育て団体とのコラボレーション企画を運営し、成功させてきた。

意欲ある若手がつくった“しゃり”

 「しゃり」の中核メンバーは理事長の大久保誠さん、副理事長の武藤美江さんら6人。萩原豪人さんや岡本亜美さんのように大学で講師を務める臨床心理士もいる。みな同世代だ。もともと彼らは市川市の青少年育成の任意団体「サンシャインクラブ」のメンバーだった。

 武藤さんは言う。「サンシャインクラブの活動が会員向けにとどまっていたので、外に向けていろんな活動をしていこうと私たち意欲のある若手が“しゃり”を立ち上げたんです。はじめのころは、よく“営業”にも出かけました」。「しゃり」の活動が知られるようになると、コラボレーションの話がどんどん舞い込むようになったという。

 “遊びの出前”とは別に、「しゃり」が設立当初の2000年から毎年夏に自主開催しているのが年齢や団体の枠を超えて参加できる「ハートフルキャンプ」だ。完全自炊でテント泊をする本格的なもの。武藤さんたちはサンシャインクラブのころからキャンプをしており、さまざまなノウハウを持っていた。

キャンプは総勢150人

昨年夏に船橋市県民の森で行われた「ハートフルキャンプ」で遊ぶ子どもたち

 「2003年のキャンプのときに知り合ったのが『にじの会』の西宮敬子さんです。西宮さんは発達に遅れのある子の保育や療養の支援をしており、この年のキャンプに発達遅れのお子さんが参加しました。市川市キャンプ協会さんなどからもさまざまなアドバイスをいただきました」(武藤さん)

 これを契機に「しゃり」は健常児と障害児の交流の実現を目的にさまざまなコラボレーションも積極的に推し進めていくことになる。

 昨年夏の「ハートフルキャンプ」は船橋市県民の森の青少年キャンプ場で2泊3日にわたって行われた。参加者は150人。そのうち、小学生が50人で中学生が6人、障害児は7人参加した。残りは全員ボランティアスタッフである。武藤さんは言う。

 「障害児1名に3名のスタッフが付きますから、どうしてもスタッフ数が多くなりますが、彼らの1割くらいは次の年も残ってくれます。養護学校の生徒さんや高校のボランティア部のお子さんが毎年手伝いに来てくれます」

 「しゃり」は「ハートフルキャンプ」以外にも自主事業として近くの公園や小学校でお祭りを開いている。昨年は10月に近くの小学校で“ふれあい祭り”が、12月には近くの公園で“はぁとふるしゃり祭り”が市川市キャンプ協会やサンシャインクラブなど地域の協力を得て、開催された。“はぁとふるしゃり祭り”ではボランティアスタッフによる模擬店が立ち並び、300人の来場があったという。

念願の学童保育所がオープン

近くの小塚山公園のフィールドアスレチックでブロック遊びをする「しゃりっこベースキャンプ」の子どもたち

 昨年9月、「しゃり」は念願だった学童保育所“しゃりっこベースキャンプ”をオープンさせた。武藤さんが言う。

 「場所はバプテスト北国分キリスト教会内のフロアを無償でお借りすることができました。私たちはここを事務局とし、運営コーディネーターやコーチといっしょに小学生のお子さんに楽しく時間を過ごしてもらったり、近くの小学校や公園に遊びに連れていったりしています。現在小学1、2年生17名の登録がありますが、2名が障害のあるお子さんです」

 障害児のママ2人に話を聞くと、「学校と違う子たちとお友だちになれてとっても喜んでいます」「親べったりだったのが、ここに通うようになってから誰とでも話せるようになりました」と喜んでいた。

昨年7月に行われた「しゃりっこベースキャンプ」プレオープンでの一コマ

 武藤さんは自分たちの活動を「地域の大人、同世代の子どもたちの中に理解の輪を広げ、自然な交流を持つことにより、当たり前に支えあう関係を育む、つまり“心のバリアフリー”の実現を目指したいんです」と表現した。

 「しゃり」が目指す“ハートフルな輪”が、どの地域にもできればと願わずにはいられない。
<取材/フリーライター・吉田彰男>

取材メモ
NPO法人しゃり
〒272-0836 千葉県市川市北国分3−21−13 バプテスト北国分キリスト教会内
TEL 047−701-7852  FAX 047−701-7856
URL http://shari.j310jp.com/  E-Mail sharikko@j310jp.com

 「わが街住み心地」は今回で終わります。ご愛読いただき、ありがとうございました。

2011年3月8日  読売新聞)


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