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石田九段・小林覚九段 勝敗展望

第32期棋聖戦 速報

 ◆石田「自信家同士の殴り合い」 小林「極限求め合い短手数も」


棋聖戦七番勝負を展望する石田芳夫九段(右)と小林覚九段

 囲碁界の最高峰、第32期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は12日開幕する。山下敬吾棋聖(29)に挑戦するのは、これまで37回もの七番勝負を戦い8割近い勝率を誇る趙治勲十段(51)。第1局は日本人移民100年を記念し、ブラジル・サンパウロで行われる。山下棋聖が若さとパワーをさく裂させるのか、“七番勝負の鬼”が牙をむくのか。注目の対決を石田芳夫九段(59)と小林覚九段(48)に展望してもらった。

 ――昨年は小林九段が挑戦者となり、2年続けてのベテランの登場となった。受けて立つ山下棋聖の調子をどう見るか。

 石田 昨年の成績は32勝25敗。よく勝っているというか、よく負けているというか、立派な成績ではあるが、絶好調とは言えない。本人とすれば不本意だろう。年末、河野臨天元位に挑戦した天元戦五番勝負では石が死にすぎた。碁が乱暴な印象がある。もともと厚い碁で、相手の石を取りに行くタイプなのに、逆に薄さが目立った。

 小林 石を取られるのは我慢が利かない時。調子がいいとは言えないだろう。

 ――昨年、挑戦者として棋聖戦を戦った際の印象はどうか。

 小林 4連敗とファンの皆さんに申し訳ない結果だったが、山下棋聖の落ち着いて自分の土俵で戦う姿勢には感服させられた。ひたすら碁盤に集中し、読みに読む。そのころと比べると、最近は少しいらだっているように見受けられる。棋風に悩みが出ているのだろうか。

 ――趙十段は過去、棋聖戦の11回を含め計37回、七番勝負を戦っている。結果は通算で29勝8敗。とは言っても久しぶりの七番勝負。棋聖戦は8年ぶりとなる。

 石田 ブランクはあるが、趙十段に限って全く心配はない。開幕が待ち遠しくてわくわくしているだろう。

 ――小林九段は第19期から3年連続で棋聖戦七番勝負を戦っている。

 小林 趙十段は自分自身と戦っている。自分で描いた構想と違う展開になると悔しがる。それが乱れとなり、勝負につながる。私が第19期に勝てたのはそれだった。いまは当時と比べれば柔らかくなっている。

 ――2人の対戦のポイントをどう考えるか。

 石田 棋聖戦と立場は逆になるが、十段戦五番勝負で趙十段は山下棋聖の挑戦を2年連続で退けている。私も立ち会ったことがあるが、趙十段は前夜祭から楽しそうだった。山下棋聖と打てるのを喜んでいるのが伝わってきた。山下棋聖の真剣さに自分とつながるものを見ていると思う。

 一方で山下棋聖にすれば、自分が碁を覚えた時は趙十段はすでに輝かしい存在だった。そうした人と七番勝負を打つことに、きっと奮い立つものがあるだろう。

 ――さて、今回の七番勝負はどう展開するだろう。

 小林 山下棋聖は黒の時は模様を張り、白の時は走る。黒番か白番かで碁の質が分かれる。言えることは地味な碁にだけはならないということだ。

 石田 どちらも自信家だ。山下棋聖が模様を張れば趙十段はどかんと行くだろう。殴り合いは必至だ。

 ――趙十段は二転三転する勝負にしたいと言っている。

 小林 2人とも頑固で、それ故に波長が合う。厳しさの極限を求め合い、短手数で終わる勝負もあるかも知れない。

 ――どう決着するとみるか。

 石田 最近の調子を考えて趙十段に利ありとみる。下手をすれば早く決着がつくかも知れない。4勝1敗で趙十段。

 小林 ぎりぎりの勝負になることは間違いない。どちらかの4連勝だけはない。昨年、山下棋聖の強さをいやというほど味わっている私としては、4勝3敗で山下棋聖としたい。

第32期棋聖戦 速報
2008年1月11日  読売新聞)
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