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深浦王位・森下九段に聞く 今シリーズの展望

18日開幕

 将棋界の最高位を争う第21期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)が18、19日にパリの「ル・メリディアン・エトワール」で行われる第1局で開幕する。5連覇を目指す渡辺明竜王(24)に挑戦するのは、竜王通算6期の羽生善治名人(38)。どちらが勝っても初の永世竜王となるが、羽生には同時に史上初の「永世七冠」もかかるシリーズとなる。ファン待望の対決を前に、深浦康市王位(36)と森下卓九段(42)に今シリーズの展望を聞いた。(聞き手・文化部 西條耕一)

挑戦者に本命登場…森下 ファン待望のカード…深浦


第21期七番勝負を展望する森下九段(左)と深浦王位

 ――羽生名人が挑戦者に名乗りをあげました。

 森下 ついに本命登場で5年前に森内さんにタイトルを奪われて以来です。

 深浦 渡辺―羽生戦はファンが最も待ち望んでいたタイトル戦です。王座戦で1回ありますが、当時渡辺竜王は19歳。それからどれぐらい強くなったのか。今期の竜王戦はプロアマ問わず注目度が高いですね。

 ――本戦での羽生名人の活躍をどう見ますか。

 森下 勝ち方が神がかっています。準決勝の丸山戦が典型的で、丸山九段が最終盤で信じられない悪手を指して逆転負けしました。

 深浦 私との準々決勝も、緩い手を指して逆転負けを喫しました。

 ――羽生名人の強さの秘密はどこですか。

 森下 必敗形にしか思えない将棋を延々と指し続けたり、まだ難解と思える局面で急に投了したりするのは、独特の判断があるのでしょう。逆転勝ちが多いのは、やはり「羽生ブランド」です。彼が目の前にいるだけでプレッシャーを感じ、勝ち切れない。私も随分痛い目に遭いました(笑)。

 深浦 最近は簡単には投げなくなりましたね。不利になってもチャンスを待つ。私も王位戦を戦って身にしみました。

 ――迎え撃つ渡辺竜王はどうでしょうか。

 森下 勝率6割しか勝っていない中でも、ネット最強戦で優勝するなど勝負強さは健在です。2年前の竜王戦で佐藤康光棋王を挑戦者に迎えた時も2連敗からひっくり返しました。

 深浦 最近になって白星が続いており、竜王戦の最中に調子を上げて行くのが渡辺流です。前期も再挑戦した佐藤乗りの声が多かったですが、七番勝負が始まってから勝ちだしました。

 ――初の永世竜王がかかったシリーズです。

 森下 連続5期通算7期という規定を達成するのは大変で、第2期竜王となった羽生名人でも、まだなれないほどの称号です。

 ――戦形予想を。

 森下 居飛車正統派の渡辺竜王に対し、オールラウンドプレーヤーの羽生名人です。やはり相矢倉が主体のシリーズにはなると思いますが、去年もそう予想して外れましたけど(笑)。

 深浦 渡辺竜王は若いですが、かなりの策士です。最近も斬新な戦法を指しており、今シリーズに向けて何か考えていると思います。羽生名人は私との王位戦でも「2手目△3二飛」戦法を指すなどリスクのある指し方をして来ました。ずっとタイトル戦に出ているので、何か新しいものを出さないといけないと考えているのでしょう。

 ――ずばり勝敗予想を。

 森下 やはり「羽生ブランド」は大きく、4―2で奪取と見ます。ただ、王位戦で痛い目に遭っているので、もつれれば渡辺竜王に勝機があると思います。

 深浦 永世名人争いで森内俊之九段に先を越された羽生名人が、永世竜王争いまで負けるわけには行かないでしょう。しかし渡辺竜王がこうした大勝負で天性の勝負強さを発揮し、4―2か4―3で防衛と予想します。激戦必至です。


 

必敗形から逆転勝ち

■本戦回顧

 左のブロックでは、開幕時、18歳の豊島、19歳の糸谷に期待が集まったが、羽生の厚い壁に阻まれた。右ブロックを勝ち抜いた木村も挑戦者決定三番勝負で羽生から1勝を挙げたが、最後に力尽きた。羽生の深浦、丸山戦は必敗形から奇跡的ともいえる逆転勝ち。1996年に七冠を制覇した時のすごみがあった。

2008年10月9日  読売新聞)
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