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    ITジャーナリスト三上洋さんが、サイバー犯罪から身を守る術や情報流出対策などを解説します。

    iPhone6行列に大量の中国人の理由

     今年のiPhone6の発売行列は、雰囲気がガラッと変わった。東京・銀座、表参道の行列には、中国語をしゃべる数百人の転売屋とみられるグループがいたのだ。(ITジャーナリスト・三上洋)

    行列の半分以上が「中国語をしゃべるグループ」

    • 19日午前0時の東京・銀座のアップルストア前の行列。約540人のうち、目算で半数が中国語をしゃべるグループ、80人から100人程度がホームレスと思われるグループだった
      19日午前0時の東京・銀座のアップルストア前の行列。約540人のうち、目算で半数が中国語をしゃべるグループ、80人から100人程度がホームレスと思われるグループだった

      9月19日にiPhone6が発売された。毎年アップルストア前で行列ができるが、今年は様相が一変している。

     発売前日、18日午後10時に表参道を取材したところ、並びは900人前後で、そのうちの6割以上が「中国語をしゃべるグループ」だった(筆者の目算による)。中国語をしゃべる10人以上のグループが、多数並んでいるのである。道路には、ワゴン車が何台も並び、元締と思われる人間が、各グループを巡回しながら声をかけていた。組織的な動員をかけていると思われる。

     銀座のアップルストアでも同様だった。19日午前0時の時点で540人前後の並びで、半数程度が中国語をしゃべるグループだった(いずれも筆者の目算)。キャンプなどで使うリクライニングチェアを置いたり、シートを敷いたりして並んでいた。こちらも車を横づけてした元締と思われる人物がグループを巡回していた。

     銀座の行列では、もう一つ別のグループがあった。それはホームレスと思われる高齢者のグループだ。人数は80人から100人程度だが、ホームレスと思われるグループが寝袋で横になっていた。銀座に並んでいた人に話を聞くと「ホームレスと思われるグループは、発売3日前の16日夜から並んでいる。元締と思われる人が連れてきていた」とのことで、こちらも組織的に動員されているようだ。

     これらの中国語をしゃべるグループ、ホームレスと思われるグループは何のために並んでいるのだろうか。それはiPhone6を転売するためだろう。筆者はその証拠となるチラシを入手できた。

     銀座の行列で配られていた転売屋の買取チラシ。SIMロックフリー版を、アップルでの定価のプラス2万5000円で買い取るとのチラシだ

    • 銀座の行列で配られていた転売屋の買い取りチラシ。SIMロックフリー版を、アップルでの定価のプラス2万5000円で買い取るとのチラシだ
      銀座の行列で配られていた転売屋の買い取りチラシ。SIMロックフリー版を、アップルでの定価のプラス2万5000円で買い取るとのチラシだ

     左がその画像で「白ロム、携帯の買取」というタイトルで、iPhone6を買取るショップのチラシだ。中国語のフォントが使われている。このチラシに書かれていた価格を見てみよう。

    ・iPhone6 16GB買取 9万5000円(アップルでの定価:6万7800円)

    ・iPhone6 64GB買取 10万5000円(同:7万9800円)

    ・iPhone6 128GB買取 11万5000円(同:8万9800円)

     どのモデルでも、2万5000円前後のプレミアが付いている。「未開封 9月25日迄値段保証」と書いてあり、9月25日までなら、この価格で買い取るとのこと。業者がこの価格で買い取るならば、転売後はさらに高くなる見込みがあるのだろう。このチラシは、中国人と思われる人物が、中国語をしゃべるグループに配っていた。

    転売屋が殺到する理由は…

    • 中国の大手通販サイト・タオバオ。「iPhone6 日本代購」で検索すると、大量の日本代理購入の広告が表示された
      中国の大手通販サイト・タオバオ。「iPhone6 日本代購」で検索すると、大量の日本代理購入の広告が表示された

     中国の大手通販サイト・タオバオ。「iPhone6 日本代購」で検索すると、大量の日本代理購入の広告が表示された

     転売先のメインは中国だと思われる。右の画像は、中国の通販サイト「タオバオ」の画面で、iPhone6が大量に並んでいる。特に目立つのは「日本代購」の文字。「日本代購」とは、日本での代理購入という意味で、iPhone6を日本で代理購入し、中国国内で売りますよという広告だ。

     実はiPhone6は、中国での発売日が決まっていない。香港や台湾では発売日が決まっているが、中国国内では未定なのである。そのためiPhone6は、中国でかなりのプレミアが付いている。タオバオの価格は5000元(8万8500円前後)が多いが、それ以上での価格設定も見受けられる。

     しかも現在は円安傾向(1ドル107円から108円前後)なので、中国から見ると割安に見える。

     そして重要な点は「日本でSIMロックフリーを購入できる」ということにある。SIMロックフリーとは、携帯電話会社の縛りなく使えること。以前の日本国内のiPhoneは、携帯電話会社の縛りがあり、たとえばドコモで購入したiPhoneはドコモの回線でしか使えなかった。

     しかし2013年11月から、携帯電話会社を自由に選べるSIMロックフリー版のiPhoneを、アップルが日本でも発売した。iPhone6でも、アップルからSIMロックフリー版が発売される。新製品登場と同時にSIMロックフリーを発売するのは、今回のiPhone6が初となる。

     SIMロックフリー版であれば、日本以外の国、もちろん中国でも利用できる。そのため転売目的の購入が増えていると考えられる。

    転売には手を出さない、買わないように注意

     昨年までは、海外でのSIMロックフリー版iPhoneを、日本人がプレミアを付けて買う流れがあった。しかし今回は逆転し、「日本で安く買って、中国など海外で売る」という転売が行われている。円安、中国未発売といった事情があるものの、時代が大きく変わったと言ってもいいだろう。

     転売屋はアルバイトを雇って並ばせていると思われる。金になるからといって、転売屋に加担すべきではないし、トラブルに巻き込まれる可能性もある。転売屋に売るのも、買うのもダメ。トラブルに巻き込まれる可能性が高いので、絶対に手を出さないようにしたい。

    2014年09月19日 11時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    三上洋   (みかみ・よう
     セキュリティー、ネット活用、ケータイが専門のテクニカルライター。最先端のIT事情をわかりやすく解き明かす筆力には定評がある。テレビ、週刊誌などで、ネット事件やケータイ関連の事件についての解説やコメントを求められることも多い
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