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選んだ夫 「外れくじ」

 1歳の娘がいる20歳代主婦。結婚前にイベントの司会の仕事をしており、男性から交際を申し込まれることもよくありました。結婚を焦っていたので、その中から一番優しいと感じた人を選び、結婚しました。ただ、夫には借金があり、ぎりぎりの生活です。夫の仕事はハードで、帰宅はいつも深夜。休みもほとんどなく母子家庭同然です。

 かつては華やかな仕事でチヤホヤされ、収入もそれなりにあった自分が、今は日々の生活費を心配している――その現実を受け入れられません。ひどい言い方ですが、わざわざ外れくじの夫を選び苦労を買った自分が、憎くて仕方ありません。

 夫は娘をかわいがっていますが、私には夫への愛は全くありません。「別の人を選んでいれば」と悔やんでいます。でも娘のために離婚は避けたい。よく考えずに結婚した私が悪いのは重々承知ですが、真剣に悩んでいます。(広島・T子)

 おいしそうなケーキが目の前にたくさんあるけれど、おなかがいっぱいだから、小さなケーキを一つだけ食べて残しました。でも今はひどくおなかがすいて、あのときのケーキを食べておけばよかったと悔やんでいます。

 あなたの悩みはそんなふうに読めます。深夜まで忙しく働くご主人が知ったら、どんなに悲しむでしょう。ご主人は家族を愛しているからこそ、懸命に働いているのです。借金の話であなたが不信感をもったわけではないようですので、ご主人はちゃんとその理由を説明なさったのでしょう。

 愛はないのに離婚は避けたいというのも身勝手です。愛し合っていない両親のもとで育つ子どもは気の毒です。一人で娘を育てながら働く勇気がない以上、食べ残したケーキの後悔をしてもしかたがありません。

 夫は優しく、娘はかわいい。苦労といっても幸せな苦労ではないですか。今はきっと、ご主人と十分に話ができないさみしさを感じているのでしょう。お金の不安も含め、思いを素直に伝えてみてはいかがですか。

 華やかな思い出は青春の一ページ。あなたは、すでに母親なのです。

 (最相 葉月・ライター)

2009年3月29日  読売新聞)
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