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必要以上にケチる夫

 ぼろアパートに住む30歳代女性。夫はとてもケチ。車には乗らず週末は徒歩で激安スーパーをはしごし、拾った大根の葉を持ち帰っておかずに使うほど。電気がもったいないと照明をつけないので部屋は暗く、夏、体が煮えるように熱くなってもエアコンをつけません。トイレは風呂の残り湯で流します。帰省のときは新幹線ではなく安い夜行バス。先日帰省先で水族館を訪れたのですが、中に入らず、入り口から眺めるだけで帰ったのは悲しかったです。

 共働きで子どもはいません。経済的には余裕があるので、そこまでケチになる必要はないのです。夫に話してもいつもうやむやにされます。貧しい家庭に育ち、お金を大事にする習慣が体に染みついているのでしょう。友達からは「そんなにお金をためてばかりでどうするの」と心配されています。私だって時には人並みのご褒美がほしい。むなしいです。(東京・I子)

 水族館を「入り口から眺めるだけ」という話には驚きました。確かに水槽のひとつぐらいは観賞できるかもしれず、その節約ぶりは見事です。おそらく一種の趣味のようなものなのでしょう。

 まずは彼に「ご褒美」を買ってあげてみたらいかがでしょうか。例えば、夕食などにごちそうを買ってきてしまう。彼はイヤな顔をするかもしれませんが、買ってしまった以上、返品はききません。捨てると損をするので、節約の観点からすると、いただくしかないでしょう。そしていただく以上、おいしく食べなければ損になる。

 そして何よりあなたが上機嫌になって、暗い部屋が明るくなれば、電気代の節約にもなり、費用対効果もさらに高まる。小さなぜいたくが、こんなにも得をもたらすことを教えてあげるのです。そうすれば彼の趣味である節約にも、新たな境地が開けるかもしれません。

 もし反応が鈍いようでしたら「私への愛も節約するの?」ときいてみてください。それでダメなら、「結婚して損した!」と叫んでやりましょう。私もそう言われて、目が覚めましたので。

 (高橋 秀実・作家)

2009年6月20日  読売新聞)
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