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「うつ」の夫と生活は嫌

 結婚5年になる40歳代主婦。3年前、夫は仕事のストレスからうつ病になり、今も治療を続けています。

 相談したいのは、夫が毎朝「会社に行くのをやめる」だの、「おなかが痛くなった」だの、会社に行きたくないというアピールをすること。何とか出社はするのですが、夫のそんなアピールを毎日聞くのが苦痛です。

 夫は「自分はうつだから仕方がない」と。でも私には、うつ病はもう治っているように見えます。どこのサラリーマンも、楽しくなくても仕事に行っているのです。

 うつ病の人には「『頑張って』と言ってはいけない」と聞きますが、家族のために夫が頑張るのは当たり前ではないですか。こんな夫との生活が嫌になってきました。結婚したことを後悔しています。ひどい妻だと思われるでしょうが我慢も限界です。(東京・E子)

 うつ病の多くは比較的すっきり治りますが、時に不調が長く続くような場合もあります。そのような時には、ご家族が一方的に我慢して、つぶれてしまいがちです。あなたの場合も、非常に疲れが感じられます。

 まず、「うつ病者に『頑張って』と言ってはいけない」というのは誤解です。これはうつ病にかかりたての時のアドバイスとしては正しいのですが、いったんうつ病という診断が下ると一生励ましてはいけないわけではありません。治りかけや、回復してももう一つ本調子でないような段階では、むしろ激励の言葉が必要なのです。あなたが言うように、「家族のために頑張って」というのもOKだと思います。

 ただし、厳しい非難や叱責はやはりきつすぎます。少々、愛情の裏づけが必要です。ご主人の場合、アピールをしても会社に行っていることは事実ですから、この部分を評価した上で、励ましの言葉をかけると良いでしょう。それが「支えられている」「認められている」という感覚を生み、やる気が駆り立てられる可能性がある。要は夫をその気にさせること。これはうつ病であるなしにかかわらず、妻の夫操縦術の基本かもしれません。

 (野村 総一郎・精神科医)

2009年11月17日  読売新聞)
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