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夢追いたいが やる気出ず

 20歳代後半の女性。幼い頃から、ある芸術関係の仕事のプロになりたくて、今までずっとフリーターの生活を送っています。

 まず作品を一つ完成させないことには何も始まりません。なのに、どうしても毎日眠気に負け、机でそのまま眠ってしまうこともあります。何時間眠ろうが、眠気は全くなくなりません。

 夢に向かって大好きなことをしているはずなのに、なぜか学生の頃の試験勉強のような気分になり、全然やる気が出ないんです。面倒くさくなってしまいます。甘えや怠けであることは自覚しているのですが……。

 夢をあきらめた平凡な人生なんかに、生きる価値は見いだせません。それなのにこんなに眠ってしまうなんて自己嫌悪を感じます。情けないし、年齢を考えると焦りや不安もあります。こんな毎日をなんとかしたいです。(大阪・N美)

 過剰な睡眠をきたす病気もありますから、まず医学的な検査は必要です。そういう病気が否定されたとして、これはプレッシャーが強すぎるためではないかと思いますね。あなたは何をすべきか、よくわかっておられる。しかし、同時にそれが簡単な作業ではないこともよくわかっている。そこに緊張が生じ、目の前の現実から逃げ出したくなる。その逃避の心理が眠気を誘うんじゃないか。

 もちろん、あなたのやろうとしていることは大好きなことです。しかし概して大好きなことで食べて行こうと思うと、それは簡単なことじゃないのです。相当な決心とリスクを背負い込まないとできるものではない。この構造をよく理解しているあなたが一大重圧を感じても全く無理もないことです。

 これは一度原点に返るべきだと思います。

 芸術とは遊びが原点でしょう。いったん生活の基盤を他に作って、遊びのレベルで楽しみながら、趣味的に作品に取りかかる。そうすることで肩の力が抜ければ、少なくとも今よりは作品を完成させやすいのでは? これは夢をあきらめることではなく、夢に近づくための一時的な遠回りだと考えてみてはどうでしょうか?

 (野村 総一郎・精神科医)

2009年8月25日  読売新聞)
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