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vulture capitalism アメリカのハゲタカ論争

米フロリダ州ジャクソンビルで演説するミット・ロムニー氏(2012年1月30日撮影)

 NHKで2007年に放送され、話題を呼んだ「ハゲタカ」。ドラマの中ではアメリカの投資ファンドによる情け容赦ない企業買収が印象に残りました。

 この「ハゲタカ」の功罪がいま、投資ファンドの本家本元であるアメリカで議論の的になっています。

 焦点になっているのは、共和党の大統領候補選びでトップを走る前マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏です。

 ロムニー氏は1980年代に投資ファンド Bain Capital(ベイン・キャピタル)を創業し、大成功を収めましたが、この経営手法に対し、ライバル候補から「企業を略奪し、雇用を奪った」という批判が次々と浴びせられているのです。

 例えば、テキサス州知事のリック・ペリー氏(1月に予備選から撤退。現在は元下院議長のニュート・ギングリッチ氏を支持)はこう言っています。

 They're vultures that are sitting out there on the tree limbs, waiting for
a company to get sick, and then they swoop in ... eat the carcass ... and
... leave the skeleton

  彼ら(投資会社)はハゲタカだ。木の枝に止まり、企業が病むのを待っている。そして突然襲いかかり、死骸を食べ、骸骨だけを残す。

 こうした投資ファンドの振る舞いを vulture capitalism (ハゲタカ資本主義)と呼んで批判する声も高まっています。

 例えば、アメリカのリベラル系の週刊誌 The Nation (ザ・ネイション)は1月、次のような見出しの記事を掲載しました。

  Vulture capitalism on trial

   裁きを受けるハゲタカ資本主義

 記事の中ではこう指摘しています。

 Romney capitalism -- the kind of "vulture capitalism" represented by
Bain -- undermines the strength of our economy itself...

  ロムニー流の資本主義、すなわちベイン・キャピタルに代表されるような「ハゲタカ資本主義」は、我が国の経済そのものの力を損なっている。

 興味深いのは、こうした批判が The Nation のような左寄りのメディアだけでなく、ペリー氏やギングリッチ氏など共和党の有力者からも出ている点です。

 もちろん保守もリベラルも含め、アメリカ人の大半は資本主義を否定しているわけではありません。ペリー氏自身、I love capitalism (私は資本主義を愛している)と話しています。

 また、共和党内ではロムニー氏やその投資ファンドの活動を肯定する人たちの方も少なくありません。駆逐すべき企業を市場から駆逐し、新しい産業や雇用を生み出す creative destruction (創造的破壊)のためにはハゲタカが必要だ、という考えの人もいます。

 それでも「ハゲタカ資本主義」の功罪が、金融界を有力な支持基盤とする共和党の大統領候補選びで議論されることは一昔前なら考えられませんでした。

 その背景には格差の拡大や金融関係者の超高額報酬に対する不満や反発の高まりがあります。共和党の候補といえども、こうした声は無視できなくなってきているのです。

筆者プロフィル

大塚 隆一
1954年生まれ。長野県出身。1981年に読売新聞社に入社し、浦和支局、科学部、ジュネーブ支局、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長、国際部長などを経て2009年から編集委員。国際関係や科学技術、IT、環境、核問題などを担当
2012年2月17日  読売新聞)

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