和食のユネスコ世界無形文化遺産への登録申請、どうなる?
期待高いが料理の登録には疑問も
正式には、2月17日に開かれる文化審議会文化財分科会の決定を経て、3月31日までに日本政府がユネスコに申請することになります。
申請を受けてユネスコが内部審査を行い、早ければ2013年秋の「無形文化遺産保護条約政府間委員会」で登録の可否が決まることになります。
無形文化遺産とは、伝統芸能や儀式など、「保護して次世代に継承すべき無形の文化」のことです。有形の建造物や自然などを対象にした「世界遺産」と並ぶ国際的な保護の枠組みとして、03年のユネスコ総会で条約が採択されました。
現在、世界で232件が登録されており、日本からは、能楽、京都祇園祭の山鉾行事、石州半紙(島根県)など、伝統芸能、民俗行事、工芸技術分野で計20件が登録されています。これらと並べると和食(申請名称は「和食 日本人の伝統的な食文化」)はちょっと違和感がありますが、料理の登録は世界的には珍しいことではありません。
フランスの美食術、地中海料理(スペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコ)、メキシコの伝統料理の3件は一昨年、トルコの儀式料理は昨年、無形文化遺産に登録されました。一方、韓国が申請した「李朝の宮中料理」は、昨年の政府間委員会で審査されましたが、登録見送りとなりました。
申請書案では、和食を「日本人が基礎としている自然尊重の精神にのっとり、家族やコミュニティーの結びつきを強める社会的慣習」と位置づけ、年中行事との結びつき、新鮮で多様な食材、優れた栄養バランス、美しい盛りつけなどを特徴として挙げています。その独自性や世界的な和食ブームを考えると、登録の期待は高いと言っていいでしょう。
ただ、対象を特定の料理に絞らず、北海道から沖縄まで地域ごとの料理の「豊かな多様性」を前面に打ち出したため、「一般的過ぎないか」「共通項がわかりづらい」といった意見もあります。国際的には、料理を遺産登録することへの疑問の声も出てきており、フランス料理などが登録された一昨年より状況は厳しくなっています。
ユネスコの審査では「コミュニティーのアイデンティティー」、つまり、その案件が、民族や地域社会の「よって立つところのもの」であるかどうかが重視されます。決められた様式の提案書の中で、こうした点をうまく説明できるかどうかがポイントになりそうです。
なお、今年の「政府間委員会」は、11月にカリブ海の島国グレナダで開かれます。この場では、日本がこれまでに申請した案件で未審査となっている那智の田楽(和歌山)、綾子踊(香川)など6件のうち何件かが審査される可能性がありますが、ユネスコ事務局の人員不足のため審査は大幅に遅れており、まだ見通しは立っていません。
さらに、現在は、条約締結国の中から選ばれた国をメンバーとする「補助機関」が行っている内部審査の体制を見直して強化しようという動きもあって、「和食」の審査もずれ込む可能性があります。
(K)
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