若い成長企業を増やす必要があるワケ
先週2月17日の夜、「起業を増やさナイト第二弾」というイベントをやってきました。
ひふみ投信のレオス・キャピタルワークス株式会社の藤野英人さんにツイッターでお声がけいただいて、DeNA等に投資をされた日本テクノロジーベンチャーパートナーズの村口和孝さんと3人で前回の「起業を増やさナイト」を開催したのが、ちょうど2年前の2010年2月24日です。
2年前は私もブログやツイッターでも宣伝をし、1ヶ月弱かかって100人強の参加者が集まりました。しかし今回は、条件の違いもありますが、私がバタバタしていてブログやツイッターなどで全く宣伝できなかったにもかかわらず1日で80人の席が瞬間蒸発してしまいました。
この2年の間に、起業に関心を持つ人の層が格段に厚くなり、起業に関する情報の
「起業を増やさナイト第二弾」では、各講師から、いろんな話がありましたが、中でも藤野さんの話に大きなヒントが隠されていると思います。
2001年9月から2011年9月までの10年間で、TOPIX(東証株価指数)は26%も下がりました。これを聞くと、多くの人は「上場しているほとんどの会社の株価は下がっているんだろうなー」と考えるんじゃないかと思います。しかし実際は同10年間に、なんと上場企業の57%もの株価は上がっているのです。ちなみに同期間の日経ジャスダック平均株価も10%上昇しています。
つまり、東証株価指数が下がっているのは、全部の会社がダメだからではなく、指数への影響が大きい大企業の株価が下がっているから、というわけです。
この話については、藤野さんの新刊、「日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。」にも詳しく書かれています。
上場企業に限らずに、日本の企業全般を見渡してみてもそうです。
次の図は、企業の社齢別に見た常用雇用の純増の数ですが、

このように、雇用を増やしているのは設立して10年以内の若い会社だということがわかります。
もちろん、社齢が若い会社はたくさんツブれますので、雇用を生むだけでなく失う雇用も多いわけですが、それでも差し引きの「純増」では、若い会社が雇用を生んでいるわけです。(以前、「頭のいい人」が陥る「罠」 にも、「ベンチャーは、日本全体や産業全体が伸びないかどうかとは関係ない」という話を書きましたので、ご参考まで。)
ベンチャー投資の世界を見ても、この10年間、日本のベンチャーキャピタルの投資額は年々減少していまして、大手のベンチャーキャピタルにお勤めの方は、「ベンチャーキャピタルへの資金供給も年々細っている」と感じていらっしゃるようです。
しかし、私の周囲のネット系のベンチャー世界では、起業する才能ある若者も増え、シードのベンチャーに資金を供給するエンジェルやインキュベーター、ベンチャー向けのシェア・オフィスも、どんどん増えています。過熱を心配する声はあっても、廃れていっている感じは全くしないですね。これも、既存の大きなベンチャーキャピタルに対して、新しいタイプの資金供給者やベンチャー支援活動が生まれて、大きな新陳代謝が起こっているということなのかも知れません。
現在、学生の就職は悲惨な状況ですので、多くの学生は「少しでも安定した大きな会社に就職したい」と考えていると思います。しかし、今どきのデキる学生は、昔の学生がボンヤリとイメージしていたような「大企業に入って定年まで勤める」といった人生設計に説得力が無いことに気付き始めているようです。
世の中の人の多くは、「格差社会で、今後ますます大企業に勤める人が得をして、中小企業に勤める人は損をする」と思っているんじゃないかと思いますが、実際に全体では、大企業に勤める人が損をして、成長する若い企業にいる人が得をする、ことになるんじゃないかと思います。
もちろん、これは「マクロ的な視点」であって、個々人の人生は極めてミクロです。大きくても今後も成長する企業もあるでしょうし、成長すると思っていたベンチャーがツブれることもあります。
しかし、若くて成長する企業が増えれば、その周囲に活気が生まれるということは確実に言えます。ベンチャーの成長には、起業家だけでなく、ベンチャーに勤めてみようという人、ベンチャーにアドバイスをする専門家など、様々な人からなる「生態系」が重要です。みなさんも、ぜひ引き続き、この生態系に力を貸していただければと思います。
(ではまた。)
| 磯崎哲也(いそざき・てつや) |
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| 公認会計士・税理士、システム監査技術者。カブドットコム証券株式会社 社外取締役、株式会社ミクシィ 社外監査役、中央大学法科大学院 兼任講師等を歴任。著書「起業のファイナンス」、ブログ及びメルマガ「isologue( http://tez.com/blog/ )」を執筆している。 |
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