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起業塾で育つたまご

 起業には、節目節目でさまざまな知識やノウハウが求められます。

 例えば、「会社のつくり方」「事業計画書」「マーケティング」「商品開発」「資金調達」「許認可」「経理」「税金」「リクルーティング」…etcと多岐にわたります。

 起業を予定している人は、このような知識の基本を起業前に理解しておくと、いざという時に慌てずにすみます。

 知識習得には、本を読んだり、サイトで調べたり、先輩起業家に聞いたりと、方法はいろいろですが、都市部では体系的なカリキュラムで教えてくれる塾や教室が随分と増えましたので、そういうところで学ぶのがまずは良策でしょう。(地方では、通信教育やネット塾を利用してもいいですね。)

起業に挑戦する女性が増え、各地でセミナーなどが開かれている

 そういう塾のひとつに、「起業家たまご塾」があります。横浜市と(公財)横浜市男女共同参画推進協会及びマイクロソフト社の3者官民協働による女性起業支援施設「女性起業UPルーム」が運営していますが、その名の通り、ここでは女性起業家のたまごを養成しています。

 毎年、前期(10〜12月)「事業プラン完成コース」と後期(1〜3月)「IT活用販促コース」に分かれ、実践的な起業ノウハウを教えています。受講資格は、具体的な起業プランを持った女性。定員は25名。教室は、横浜市の男女共同参画センター内にあります。

 このたまご塾の設立当初から企画・運営・サポート等に携わっているのが、女性起業UPルーム・ナビゲーターの吉枝ゆき子さん。

 吉枝さんは、大阪大学人間科学部卒業後、大手電機メーカー、IT会社などを経て、2007年4月ネット会社を設立して独立起業。同年6月「女性起業UPルーム」ナビゲーターに就任して、起業準備相談への対応や起業家たまご塾の活動を推進することになります。

 過去4年間のたまご塾活動すべてに関わってきましたが、今年(2011年)も10月に開講する通算第5期目の準備に奔走している吉枝さんに話を聞きました。

 「・・・女性起業家の場合、<こんな商品があればいいな>とか<こういうお店をやってみたい>などの強い動機や純粋な思いを持っている人は多いが、それをしっかりと収益に結びつけるための計画や準備が比較的足りない(男性の場合は逆のケースが多いようだが)・・・」と考える吉枝さんは、だからこそカリキュラムは「・・・損益計画や資金計画、販売促進など、収益について考える機会を多くした内容になっている・・・」と言います。

 たまご塾の特徴については、「・・・講師の講義を聴いて知識として覚えるだけという教室ではない。自分のプランを発表し意見交換する。課題を持ち帰って取り組み、次回に再発表。自分で考え、まとめ、人に伝えるという作業が大切だと考える。時流に乗ったノウハウよりも、ビジネスの考え方や組み立て方、発想方法など、起業のための基礎的なトレーニングを重視している。また、後期IT活用販促コースでは、ホームページを開設して情報発信や販売促進を実施する方法を、塾生一人ひとりのビジネスに沿って具体的に指導する・・・」と。

 受講者にとって評価の高いのが「・・・メールサポートサービス。教室で学んだことは実践してはじめて得心がいくことばかり。実践中にわからないことがどんどん出てくる。それをメーリングリストでサポートする。一期間中のメーリングリストは1000通近くに上る・・・」。このサポートを仕切るのも、吉枝さんの役割です。

 知識習得以上のメリットが「・・・教室やメーリングリストでの交流で、25名の受講者の間で連帯感が生まれること。相互に教えあったり励ましあったり、起業後も助け合ったりコラボしたりと、この人脈形成が大きな財産になる・・・」と語ります。

 P.F.ドラッカーは、今日の知識社会で個人が成果をあげるようになるためには、継続的な学習が必要だと何度も語っていました。そして、学んだことを実践し、その結果をフィードバックし、そうして得られた断片的な知識を統合化する。そういう一連の習慣的な学習能力が、知識社会で役に立つ人間になるために、個々人に求められるようになると言うのです。

 そういう点では、起業たまご塾と吉枝さんの活動は、起業に役立つだけではなく、これからの社会で有効に機能する、つまりは社会に貢献できる人材になるための学習方法を研究し提供していると言っていいでしょう。

 明治維新の「慶応義塾」や「学問のすすめ」は、新しい時代が求める人材教育の先駆けとなりましたが、たまご塾のような「起業教育」が、ドラッカーの言う知識社会の時代に向けて、同様の役割を担おうとしていると考えるのは、期待が大きすぎるでしょうか。

大久保忠男(おおくぼ ただお)
1947年兵庫県生まれ。92年赤ちゃんファミリー市場研究所、94年日本オーガニックコットン流通機構、99年イーベビー株式会社をそれぞれ設立。現在、株式会社ネット&コミュニティ研究所代表取締役。主に社会起業家支援の活動に携わり、女性起業支援「わたしと起業.com」や育児支援サイト「イーベビー」を運用中。◇メルマガ講座 起業に必要な基礎知識を段階的に学べるように、カリキュラムに沿ってメルマガを毎週1回、配信します。全36回の配信で基礎知識が習得できます。カリキュラムは、基礎編26回、事例から学ぶ10回からなります。起業に必要なチェックポイントに始まり、相談先や開業資金まで、だれでもわかる内容になっています。無料です。希望する方はこちらへhttp://www.watashi-kigyou.com/elearn_mm.htm 
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2011年8月17日  読売新聞)

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