1998年12月7日(月) 読売新聞東京本社発行 夕刊13面
海産物でアイデア食品
全国水産高校生研究発表大会
全国の水産高校生が日ごろの研究活動の成果を発表する「全国水産高等学校生徒研究発表大会」(全国水産高等学校長協会主催)が先月27
日、鳥取県境港市の夢みなとタワーで開かれました。参加したのは全国7地区の代表校と主管校の計8校です。審査の結果、北海道函館水産高校
が最優秀賞・文部大臣奨励賞、岩手県立広田水産高校が優秀賞・産業教育振興中央会奨励賞に選ばれました。
◇最優秀賞 北海道函館水産高校
◆イカ肉の切り方工夫 「丸ごとイカ利用―イカシャブ・イカダンゴ・ゴロ入りタレ」
イカ(スルメイカ)は函館市の魚にも指定されている函館を代表する特産品です。名物イカソーメンのほかイカめし、イカとっくり、塩辛などの加工食品がありますが、もう既に開発され尽くした感があります。
そこで水産製造科3年の佐々木康二、簡尚也、柳沢正哉君の3人は、イカ独特のうま味が生かせる新製品の開発に取り組みました。
タコしゃぶをヒントに思い付いたのが、「イカしゃぶ」です。数センチ角のイカの胴肉をなべで湯がいて食べます。さぞかしおいしいことでしょう。
ですが、ここで問題が出てきました。しゃぶしゃぶの食感を出すには、ただでさえ薄いイカの胴肉をさらに薄くスライスしなければならないことです。
そのため、胴肉はいったん冷凍し、スライサーを使うことを思い付きました。こうすると、しゃぶしゃぶの感じがよく出る1ミリ前後の厚さにまでスライスすることができました。
さらになべに入れた時に丸まってゴムのようになってしまわないよう、外側の第3,4層の皮と内臓側の皮も丁寧にむきました。
ほかに、胴肉以外の残肉で作ったイカダンゴや、しょうゆやみそに肝臓のぶつ切りを加えたゴロ入りタレも合わせて作りました。
こうすると、イカの3分の2が利用できるそうです。胴肉とイカダンゴの真空パック、タレの缶詰(2種)など2人前の食材の詰め合わせも試作しました。
「着眼点がユニーク。食材のラベルを手作りするなど熱心に取り組んでいる。商品化の可能性も十分」というのが審査評です。
「賞を狙っていたのでうれしい。今後はスライスの簡単な方法を考えるのが課題です」と語りました。
◇優秀賞 岩手県立広田水産高校
◆ワカメの茎を寒天状に 「『ワカメの茎の有効利用』第2報―100%ワカメ食品の試作」
ワカメの茎には繊維質・無機質などが含まれていますが、塩蔵ワカメに加工する際、茎やくず葉の多くは捨てられてしまいます。
もったいないと思った食品科学コース3年の村上光一君ら4人が、これを利用して、100%ワカメの食品作りに取り組みました。
写真=最優秀賞に輝いた「イカシャブ」の食材セット(上)と函館水産高校の生徒たち
昨年は先輩たちがワカメの茎とコンニャク粉を使ったワカメコンニャクの製品化に成功しています。そこで今年はコンニャク粉を使わず、茎とくず葉だけから、厚みのある寒天状の食品を作ることにしました。
ワカメの持つアルギン酸の性質を利用した、溶解・凝固反応を使って試作しました。なかなか固まらず苦労したそうですが、歯ごたえ、食感ともに良好な食品ができました。
本来捨てられてしまう部分を活用するので、環境保護にも一役買いそうです。来年は「菓子などにも利用したい」と話していました。
(高1・宇田川 宗、高2・浅野 玲子記者)
(更新担当記者 高1・山下裕子記者)