2003年7月7日(月) 読売新聞東京本社朝刊
「チャプリンは歴史に残る本物」映画祭開催中 
“博士”が魅力解説

 喜劇王チャプリン(1889―1977)の映画生活90周年を記念し、12作品を連続上映する「チャップリン映画祭」が東京・有楽町スバル座で開催されています。私たちは今回初めて作品を見て、全く古さを感じさせないことに驚きました。“チャプリン博士”こと、劇団主宰(しゅさい)の大野裕之さん(28)に、その魅力を解説してもらいました。

大野さん

 「あんな動きの人、見たことない。それなのにあの動きを見れば、考えていることが分かる」。大野さんは、小学4年の時にテレビで初めて「独裁者」を見て、衝撃を受けたそうです。以来、彼にほれ込んで、京都大学大学院の修士・博士論文をチャプリン研究でまとめ、今も英国チャプリン学会に所属しています。

 チャプリンはロンドンで生まれ、子ども時代は大変貧しかったそうです。舞台俳優となり、アメリカに渡って映画作りにかかわります。完ぺき主義で、監督・脚本・主演などすべてをこなし、同じシーンを何度も撮り直しました。納得のいくものを作ることで、当時は娯楽と考えられていた映画を芸術にまで高めることに成功したのです。

 大野さんが一番に薦める映画は「街の灯」。目の見えない少女との愛の物語です。貧困や差別など、矛盾に満ちた社会の中で、人生に必要なのは「ひとかけらのパンとほんの少しの勇気と愛」と語り続けたチャプリンの思いがこめられています。また、「モダン・タイムス」では、機械こそ人間を幸せにすると信じられていた70年前に、機械文明への批判を表現しています。

「街の灯」のワンシーン

 「ユーモラスな演技の中に、人間の愛情や弱さ、醜い部分まですべて見せてくれる。そのリアルさは今に通じます」と大野さんが語るように、現在、世界中でチャプリンがまたブームになっているそうです。「ここら辺で人間本来の姿を考えてみようという時代なんですね。新しいものばかり追い求めるのも大事だけど、チャプリンは歴史に残る本物。そこから新しいものも生まれます。チャプリンはすべての源です」

 映画祭は8月8日までで、そのあと大阪市、札幌市、名古屋市でも開催します。問い合わせは日本ヘラルド映画(03・3248・1166)へ。(高1・松本真実、高2・斎藤玲花、星合愛記者)

作成日: 2003年07月10日

最上部へ ホームへ Copyright (C) 1997-2001 Yomiuri Junior Press
記事を読んだ感想を聞かせてください!    メールアドレス:junior@yomiuri.com