2003年11月17日(月) 読売新聞東京本社朝刊
[どんな仕事?] 保育士 西巻民一(にしまき・たみかず)さん(39)
西久保保育園(東京都武蔵野市)

 ◆園児の心 受け止め続けて

 4歳のクラスを見ています。毎日、20人の子どもたちと絵を描いたり、折り紙、おままごとをしたり。今日は庭で泥ダンゴを作りました。ダンゴを磨いてピカピカにする根気のある子もいて、個性はいろいろだなあと驚かされます。子どもは気持ちをすべて言葉にできるわけではないので、一人一人の心を受け止めるのはとても難しい。だから、彼らの喜び悲しみを一緒に感じられた時はとてもうれしいです。子どもから教わることは多いですね。

 ここは私立の保育園で、0歳から6歳児まで102人を預かっています。16人の保育士のうち、男性は3人だけですが、仕事の内容はみな同じです。4年前に仕事の名称が「保母」から正式に「保育士」と変わったこともあって、全国的に男性の保育士は増えています。実はもっと前は男性には資格すらありませんでした。30年前、保育所で働く男性たちが「全国男性保育者連絡会」を結成して国に訴えた結果、1977年に資格が認められ、その後も、男女ともに同じ名前にしてほしいと訴え続けました。それが実り、やっと男性のちゃんとした仕事だと認められるようになったわけです。

 現在、全国の男性保育士の数は約3千人で、全体の1%程度。一人で悩みを抱えていたり、給料が低いために転職したりする人も多いです。連絡会では、採用を増やしてもらうために自治体などに働きかけたり、全国集会で交流したりしています。

 保育士の仕事に男女の差はないと思います。男と女の2つの性があるのに、女性だけが子育てするのはおかしいです。人にはいろいろな面があるのですから、いろいろな人が周りにいる方が子どもは豊かに育つと考えています。

 僕が保育士になろうと思ったのは大学3年の時。国から保育所不要論が出されてきたころです。ある保育者の研究会で、保育園は子育ての専門機関として地域に役立つ存在だと報告した人がいて、心を動かされました。バラバラになっている地域のコミュニティーを再生させたいと考え、子育てを通して地域をつなぐ保育の仕事を選びました。

 福祉系の大学だったので在学中に単位を取り、卒業後、この保育園に就職しました。一般的には短大で必要な単位を取るか、国家試験を受けて資格を取り、公立の場合は各自治体の採用試験を受けます。10代のみなさんは、子どもといっぱい遊んで子どもの心を感じる感性を磨いたらいいですね。その子がその子らしくいられるように、子どもの気持ちにどこまでも寄り添える保育士が理想です。

西巻民一さん

 ◎感想
 ◆一人一人しっかり見守る

 保護者が迎えに来ると、西巻さんは園児の様子を詳しく伝えていました。一人一人をしっかり見守っているんだと思いました。保育士が地域にいて子どもを豊かに育ててくれていることを知りました。(小6・藤川奈央美記者)

 男性保育士には男性ならではのよさがあるのでないかと考えていましたが、「人にはそれぞれ個性があり、男女の差はたいしてない」と聞き、育児は男女の分業でなく、力を合わせて行うものだと気づきました。(高2・星合愛記者)

作成日: 2003年11月20日

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