2004年1月12日(月) 読売新聞東京本社朝刊
エイズ教育に紙芝居 アフリカで日本のNGO協力 エイズ感染者が多いアフリカで、紙芝居によるエイズの教育活動が、日本のNGO「家族計画国際協力財団」(ジョイセフ)の協力で始まりました。世界のエイズ感染者の7割はアフリカのサハラ砂漠以南の地域に住んでいます。紙芝居のストーリーは村人の書いたエッセーをもとに原画も村人が描きました。エイズに対する偏見、差別をなくすために取り組んでいるジョイセフに取材しました。(小5・高橋広夢、中1・徳永英恵、高2・馬場喬嗣記者)
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紙芝居「終わらないサヨナラ」を見る村人たち(タンザニア・キリマンジャロ州で=ジョイセフ提供)
ジョイセフは30年ほど前からアジア、アフリカ、中南米など途上国の農村で、家族計画や寄生虫予防、母子保健などについて、現地のNGOと一緒に活動しています。特にアフリカで今一番深刻な問題はエイズのまん延です。国連の2003年の推計では、エイズは世界中で約4000万人の感染者がいて、その70%にあたる2800万人がサハラ砂漠以南の地域に住んでいます。これは、世界の人口63億人の13%しかアフリカに住んでいないことからみても、いかにエイズ感染者が多いかがわかります。
ジョイセフでアフリカ担当の角井信弘さんは、「アフリカでは男性に比べて社会的地位が低い女性の感染者が多いことや、働き盛りの3、40代の人たちが発病して死ぬ割合が高く、親のいない子どもたちが増えるなどで国家の危機にもなっています」と背景や問題点を説明しています。ジョイセフが、現地のNGOとともに、保健推進ボランティアを養成しながら農村で活動しているタンザニアでは、エイズ孤児(こじ)が80万人もいると言われています。
紙芝居によるエイズ予防のきっかけを、角井さんは「ボランティアたちが『仲間がエイズで次々と死んでいく。何とかしたいが、私たちには十分な知識も教材もない』と訴えてきました。いろいろ考えたところ、持ち運びがかんたんで、村人も目で見てわかる紙芝居がぴったりだとなりました」と話します。
タンザニア・キリマンジャロ州の村などでエイズのエッセーを募集、それをもとにストーリーを組み立て、原画はすべて村人が描きました。そして、『終わらないサヨナラ』という33枚の作品に仕上がりました。主人公の少女の最初の母が病死し、再婚した父もまもなくエイズで死亡します。しかし「亡くなった母もエイズだろう」「子どもたちに近づくな」と言ったうわさが広がり、差別に悩んだ二番目の母も農薬自殺し、二人の子どもだけが残されてしまいます。そして、最後に、「悲しみを共有しましょう。私たちと一緒に闘いましょう」と訴えます。
昨年秋から約30人のボランティアたちが1冊ずつ持って村々を回り、紙芝居による教育活動を始めました。40分で読み聞かせ、その後、参加者たちが、紙芝居の感想やエイズについての質問を出して話し合います。
角井さんは「アフリカではエイズに対する偏見や差別がまだまだ強く、オープンに話し合う場がとても大事なのです。タンザニアは、エイズに対して質問がいっぱい出るようになり、紙芝居による効果があらわれています。ただ、エイズウイルス検査をしたくても身近に医療施設が極端に少ないという問題もあり、そのような状況を改善していくことがこれからの課題です」と話しています。
このような取り組みはガーナでも、現地語に翻訳されて行われ、ほかの国でも活用する話が進んでいるそうです。
《取材を終えて》
◆両親失った孤児も心配
エイズ感染者がなぜアフリカに集中しているのか、そして、孤児も多くなって困っていることなどが、取材でわかりました。エイズについての学習を、文字だけでなく、日本独特の紙芝居という教材を使うジョイセフの活動は、大変良いアイデアだと思いました。それも、村人と協力しながら作ったことも良かったと思います。国際協力にはいろいろな形がありますが、このような活動もあることを知りとても心を動かされました。(英)作成日: 2004年01月14日
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