◆小中高6校と定期的に交信
北極海(ほっきょくかい)と南極大陸の単独徒歩横断に成功している冒険家(ぼうけんか)・大場満郎さん(51)は今、「地球縦(たて)回り一周の旅」に挑戦(ちょうせん)しています。6年がかりで成しとげようという計画の第1弾(だん)は北極圏のグリーンランド。氷上2500キロ・メートルを徒歩などで縦断(じゅうだん)中です。今回は、名古屋大学大学院で大気の研究をしている長谷徹志(ながたにてつじ)さん(27)と一緒です。さる10日、私たちは衛星電話で大場さんたちに取材しました。(小5・岩崎卓也、中2・都筑一女、高1・硲(はざま)ゆか、高2・松本真実記者)
 雪温と雪の酸性、アルカリ性を測定するため掘った雪の穴からバンザイをする大場さん(5月16日、長谷さん撮影=地球縦回り一周の旅事務局提供) |
「もしもし、おはようございます」。大場さんの元気そうな声が聞こえてきました。東京から電話した時は夕方でしたが、北緯70度31分、西経40度55分の現地は時差があるため朝です。
2人は4月5日、グリーンランド南端を北に向かってスタート。「初めは風があまり吹かなかったため、なかなか進めませんでしたが、今は毎日70キロ・メートルぐらい、順調に進んでいます」。食料や衣料と、パソコンやデジタルカメラなど約100キロ・グラムもの荷物を積んだ全長2メートルほどのソリに、スキーセールと呼ばれるナイロン製の大ダコを付け、風に乗って移動するため、風が頼りなのです。
グリーンランドでは、内陸部から海に向かって風が吹き、「サスツルギ」という高さ30センチほどの雪の波を作ります。「周囲は真っ白ですが、サスツルギの向き、太陽の方角、時計によって方角を知ります。慣れれば楽ですよ」と大場さん。
今、1日中、太陽が沈まない白夜(びゃくや)。サスツルギがいったん解けて、さらに凍りつくのでひざに負担がかかります。長谷さんは「マッサージをよくして、睡眠をしっかりとって疲れをためないようにしています」。移動しながら黄砂(こうさ)の与える影響(えいきょう)や大気の汚染度を調べています。
2人の食事は、朝、夕は「ペミカン」という肉や野菜を固形や粉末にした物をお湯で練(ね)って食べ、昼食は、ゴマや松の実、干しブドウ入りのチョコバー。エネルギーを多く必要とするため、1日平均5600キロ・カロリーもとっています。入浴はスノーシャワーといって、裸になって、氷点下20度の雪原に寝転がって体を洗っているそうです。
もう1人、ベースキャンプマネジャーとして宮下典子さん(28)も参加しています。大場さんたちとは別行動で、物資の補給(ほきゅう)を担当しながら、グリーンランド西岸の村々を回り、イヌイットの人たちの生活を調べています。「自然環境が厳しいため人々は協力しなければ生きていけないので、人間関係がとても深い」と宮下さん。
大場さんたちは、大阪市立新東三国小、東京都千代田区立一橋中、北海道白樺(しらかば)学園高など6校と定期的に交信、子どもたちからの質問に答えています。現地の様子は、インターネット(http://www.global‐edventure.net)でも知ることができます。
「海が多い横回りに比べ、縦回りは北極、南極があり、砂漠あり、ジャングルありで面白そう」と計画したという大場さん。すでに1900キロ・メートルを踏破(とうは)、来月上旬にもグリーンランド北端に到達する見通しで、帰国報告会が楽しみです。
〈グリーンランド(デンマーク領)〉
カナダ北東部にある面積217万5600平方キロ・メートルの世界最大の島。8割は氷原で、住民は約6万人。1979年に自治政府が発足。主な産業は漁業、水産加工業。
〈地球縦回り一周の旅のコース(予定)〉
人力と自然の力を利用。グリーンランド、北米、南米から南極大陸に入り、さらにオーストラリア、東南アジアを経て日本を北上、シベリアから北極圏へ。
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