2009年5月23日(土) 読売新聞
芸術支える修復技術 吉村絵美留さんが公開講座
  芸術家の岡本太郎さんの壁画(へきが)「明日の神話」などの修復を手がけた絵画修復家、吉村絵美留(えみいる)さん(59)の公開講座が4月27日、東京・南青山の岡本太郎記念館で開かれました。3回の連続講座「ようこそ修復の世界へ 吉村絵美留 絵画修復を語る」の1回目で、参加者約30人が岡本作品を通して修復の工程(こうてい)を学び、作業を体験しました。
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洗浄作業をジュニア・プレス記者に説明する吉村さん(左)


 この日の題材は、約50年前に制作されたモザイクタイル作品「青春」。作品は今はありませんが、下絵の油絵が岐阜(ぎふ)県で保管されていました。
 吉村さんは修復の作業手順を説明。修復ではまず、紫外線(しがいせん)や赤外線、X線撮影(さつえい)などを行い、絵の具や技法について研究します。そして、画面を洗浄(せんじょう)したり、キャンバスのほつれを直したり、絵の具の落ちた部分を埋(う)めていくなどの作業をしていくそうです。

 会場には、土ぼこりのついた「青春」の下絵(縦(たて)74センチ、横115センチ)が用意され、参加者は順に洗浄作業をしてみました。蒸留水(じょうりゅうすい)で綿棒(めんぼう)をぬらし、綿棒で円を描くように絵をふきます。綿棒を半回転させて汚(よご)れを取り除くと、鮮(あざ)やかな色彩(しきさい)が現れ、驚(おどろ)きました。下絵は修復後、同記念館で7月に公開の予定です。

 父親が画家で、幼いころから絵に親しみ、創作の苦労を見てきたという吉村さん。絵が傷(いた)んでいくことに対し「何かできないか」とこの道に入ったそうです。約20年前、岡本作品に出会いました。

 絵画は時とともに姿(すがた)を変え、どの状態まで戻(もど)すかは美意識につながります。科学の力、作業の積み重ね、作品を思う修復家の心に支えられ、絵画は守られているのだと思いました。(中1・横森萌々太、高1・吉武彰子、高2・加藤あず佐記者)

作成日: 2009年05月27日

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