2009年11月14日(土) 読売新聞
米粉ケーキを高校生が開発 何度も試作、商品化 全国大会で最優秀賞
米粉(こめこ)を使ったお菓子やパン作りが注目されています。先月、茨城県内で開かれた「第60回日本学校農業クラブ全国大会」では、米粉ケーキを開発し、大手製パン企業での商品化に成功した愛知県立安城(あんじょう)農林高校が、農業の活性化や環境保護(かんきょうほご)、食育などに取り組む発表を行う「プロジェクト発表会」の文化・生活区分で、最優秀賞・文部科学大臣賞に輝(かがや)きました。同校を訪ねて、その実践について取材しました。(高2・加藤あず佐、渋谷絵理香、三上航平記者)
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米粉ケーキ「こもっちり」(右)と、蒸しパン「あまりん」を開発した安城農林高校の生徒

 食品科学科3年の川澄亜美(かわすみあみ)さんら8人が開発したのは、米粉100%のケーキ「こもっちり」です。直径12センチ・メートル。米の「もちもち」したイメージから名づけました。

 オーブンで焼いた「こもっちり」用のスポンジケーキにナイフが入ると、ボロボロとせず、きれいな切り口。口溶けが良く、ほんのりと甘い味がしました。

 「お米をより身近なものに」と、米粉を使ったケーキ作りに取り組み始めたのは2年前。まず、うるち米の粉で試したところ、切った時に崩(くず)れやすく、口溶けもあまりよくありませんでした。そこで、より粘(ねば)りのあるもち米の粉に着目。試行錯誤(しこうさくご)の末、うるち米の粉ともち米の粉を2対1の割合で配合すると、口溶けが良くなりました。卵に砂糖を加えてあわ立てる際、卵白(らんぱく)と卵黄(らんおう)を別々にあわ立てると、ボロボロと崩れる欠点を解消することもできました。

 スポンジケーキに安城特産のイチジクのジャムをはさんだ「こもっちり」は、山崎製パンで商品化され、昨年11月に愛知、岐阜、三重3県のスーパーなどで販売がスタート。開発した生徒たちが店でお客さんに勧めたかいもあり、1個298円で多い週には6000個も売れました。

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山崎製パンで商品化された「こもっちり」。かわいいラベルも生徒がデザインした


 同校でケーキ作りを見せてもらって驚(おどろ)いたのは、ストップウオッチを手に作業を進めていく姿です。例えば、卵白に砂糖を加えてあわ立てる時間は、2分40秒、その後、この卵白にあわ立てた卵黄を加えて混ぜる時間は30秒などと、細かく設定しています。こうした最適な作業時間を割り出すために、あわ立てたり混ぜたりする時間の条件を何通りも変えて、根気強く試作と試食を繰(く)り返しました。

 「私たちのレシピには、作業時間などの細かいポイントも載(の)せています。ケーキがしぼんだり、硬(かた)くなったりしないよう、だれでも安定したケーキ作りができる」と川澄さん。安城市内の小学校などで子どもたちとケーキを作った後、「家でもやってみて、みんながおいしいと言ってくれた」などのうれしい手紙が届(とど)きました。

 全国大会で発表した「新しいお米の食文化〜こもっちりを通して地域交流活動〜」は、「米離れに歯止めをかけ、米の消費を拡大しようと、一流企業を巻き込んでの商品開発に成功した」と審査(しんさ)で高く評価されました。

 現在は、米粉を使った地元の甘酒(あまざけ)入りの蒸しパン作りに取り組んでいます。「あまりん」の商品名で12月から販売される予定です。
 

 〈日本学校農業クラブ全国大会〉 
 農業系の高校で学ぶ生徒が、学習や研究の成果を発表する場で、日本学校農業クラブ連盟(れんめい)などが主催(しゅさい)。今年は、約5000人がプロジェクト発表会や意見発表会、平板測量や家畜審査などの競技会の計6部門に参加した。プロジェクト発表会では、安城農林高のほかに、熊本・鹿本(かもと)農業高(食料・生産区分)が最優秀賞・農林水産大臣賞を、京都・桂(かつら)高(環境区分)が最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した。

作成日: 2009年11月16日

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