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    恩師の思い、今度は私が伝える…駒沢女子OG

     駒沢学園女子中学校・高等学校(東京都稲城市)は今年、創立90周年を迎えた。禅宗の教えを仰ぐ教育理念と、教師と生徒の関係が家族のように温かい校風がある。やまとなでしこを輩出する同校の魅力を、二つの世代の卒業生に語ってもらった。

    「保育士になるつもりがソフト部に」

    • 保健体育科を担当する二見季子講師
      保健体育科を担当する二見季子講師

     保健体育科を担当する二見季子講師は同校の卒業生だ。日本女子体育大学に進学し、卒業後は1991年から母校に勤務。旧ソフトボール部を再編して2000年に発足した、硬式野球部のコーチも務めている。

     

    ――駒女に入ったのはソフトボールがしたかったからですか。

     「いいえ、将来は保育士になりたいと思って駒女に入ったんです。でも、入学してからソフトボールにハマってしまいました」

    ――ソフトボールのどんなところに魅力を感じたのですか。

     「野球をやっていた兄の影響で入部しました。スコアの付け方なども勉強していたので、楽しかったです。そのうち、保母よりも体育の先生になりたいという夢を持つようになり、打ち込んでいきました。何よりソフトボールが好きだったんです」

    ――どんな活動ぶりだったんでしょう。

     「練習の密度が濃かったですね。それでチームメートとの絆が深まりました。ただ、当時は練習場所がなくて、他の部とグラウンドをシェアしていました。200メートルトラックのカーブの部分を使うとか、本当に狭かったです。今は広々とした練習場があって、うらやましいですね。雨の日だけは他の部が休むので、全面を使ってのびのび練習できたのを覚えています。試合に勝ちたくて、みんなで肩寄せ合って練習して、それなのにアクシデントで試合に出られなくて、つらくて泣いたこともあります。だから、当時のチームメートとは今もつながりがあり、私や現在の硬式野球部を応援してくれます」

    • 永平寺での修行体験。朝3時に起き床掃除をする
      永平寺での修行体験。朝3時に起き床掃除をする

    ――ソフトボール以外では印象的な思い出はありますか。

     「学校生活で印象に残っているのは、高1で行われる永平寺研修です。学園の母体である曹洞宗大本山『永平寺』(福井県)に参拝し、2泊3日で修行体験をしました。朝3時に起きて掃除をし、精進料理をいただいて、読経や座禅などのお勤めを午後9時まで。その間、言葉を発してはいけない決まりです。心を無にする体験を通して、集中の仕方を学びました」

     「それと体育祭ですね。学年を超えた縦割りチームで対抗競技が行われるので、下の学年は上に勝ちたいし、上の学年は下に負けたくない。闘争心が育まれました。花形種目のリレーでは、選手も応援の生徒も、一体となって燃えました」

    変わらない「仲間のような先生たち」

    ――当時と今を比べて学校の雰囲気はどうですか。

     「私の頃は時代のせいか、厳しい先生も多かったけれど、一方では遊び心があって、生徒と一緒に活動する仲間のようでした。そんな雰囲気は今もあると思います。それに授業や部活、行事まで、いろんなことにチャレンジさせる校風も変わりません。私もスポーツを通じて、生徒にたくさんのチャレンジを教えたいです」

    • 硬式野球部監督で、一緒に指導にあたっている蘇武秀子先生(左)と
      硬式野球部監督で、一緒に指導にあたっている蘇武秀子先生(左)と

    ――目指している教師像を教えてください。

     「学生時代にソフトボール部の顧問だった蘇武秀子先生ですね。今は硬式野球部の監督で、一緒に指導にあたっています。決断力があって厳格な先生です。学生時代は、最初は怖かったですね。でも、叱られていても愛情が伝わってくる。見守られている安心感がありました。先生の存在は、私がソフトボールを続けてこられた大きな理由の一つでもあります」

     二見先生は、蘇武先生に指導を受けたソフトボール経験を確かめながら、後輩たちに野球を指導している。生徒たちからも「丁寧に教えてくれる優しい先生」と信望は厚い。快活に冗談を飛ばしながら、必要な時は手を取り、身ぶりを交えて親身に教える姿は、仲間のように生徒と一体だ。

    自由な発想で生徒の好奇心に応える

    • 同校卒業生で、今年から小学校教諭を務める相澤美帆さん
      同校卒業生で、今年から小学校教諭を務める相澤美帆さん

     5年前に駒女を卒業し、今年から都内の小学校教諭を務める相澤美帆さんは、二見先生の教え子の一人だ。「先生の保健体育の授業は話が面白く、とても楽しかった」と語る。

    ――駒沢学園女子高等学校を選んだ理由はなんですか。

     「中学生の時にオープンキャンパスで駒女を見学して、緑豊かで美しい学園だなと思いました。このとき、校長先生からお話があり、『勉強と運動の両輪が回っていくことで、人として成長できる』との言葉に感動して、受験を決心しました」

    ――学生時代に得意だった科目は。

     「世界史なんかは得意でした。世界史の授業は大好きで、動画やビデオソフトなどのビジュアル教材が多くて、毎回、へーえ!と納得していました。知識がとても豊富な先生で、何でも答えてくれました」

     「他の科目でも、面白いテーマ学習や実験は印象に残っています。例えば理科では、炭酸飲料の中に糖分がどのくらい入っているかを実験で調べたこと。数学では、三角形の性質を利用して講堂の高さを測ったり、アンモナイトの殻の形にどんな規則性があるかを調べたりしたことですね。その他にも、アメリカ大統領のスピーチ動画を教材にして、撮影アングルやクローズアップなどの演出効果を研究したり、ゲームを活用して貿易のシミュレーションをしたりしました。教員が自由な発想でテーマ学習や実験を行うのは、今のアクティブラーニングにつながる考えですね」

    ――部活動はどうでしたか。

     「中学のころは吹奏楽部に所属してクラリネットを演奏していましたが、駒沢学園女子高等学校では、自然科学部に入りました。レゴブロックを使った『宇宙エレベーター』の制作競技大会に参加したり、学校敷地の奥にある遊歩道に、食べられる植物を探しに行き、ドクダミで揚げ物をつくったりしました。楽しかったですね」

    温かな関係性が育む学び

    ――現在、教員として母校で受けた教育についてどう思いますか。

     「入学のきっかけになった『勉強と運動の両輪』は、今の学校でも伝えていけたらと思っています。面白かった授業も、今の仕事に生かしたいですね。当時はよく分からなかった先生たちの思いも、今は分かるようになってきました。駒女にいた頃、先生が私たちをどんなに思ってくれていたか、改めて感じながら日々頑張っています」

     2人の卒業生が語った母校の思い出はそれぞれだが、共通しているのは、教員と生徒の温かな関係性だ。駒女で先生から受け継いだ思いを、今度は自分たちがそれぞれの場所で、生徒たちに手渡していくことだろう。

     (文と写真:上田大朗 一部写真:駒沢学園女子中学校・高等学校提供)

    2017年09月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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