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    礼法で、所作だけでなく心も美しく…共立第二

     「真の美しさを身につけた女性」の育成を目指す共立女子第二中学校・高等学校(東京都八王子市)は、道徳の授業の一環として「礼法」を取り入れている。所作の徹底を通じて心の成長を促すことが期待されるうえ、社会に出てからも役に立つ実践的な教育として人気がある。その授業風景を紹介する。

    「真の美しさを身につけた女性」実現のために

    • 礼法の授業風景
      礼法の授業風景

     同校の母体である共立女子学園は、「女性の社会的自立」を建学の精神として1886年に創立された。その理念は、1970年に開校した同校の土台となり、校訓の「誠実・勤勉・友愛」とともに、学習プログラムやさまざまな取り組みを支えている。

     「誠実・勤勉・友愛」の校訓は、「真の美しさを身につけた女性(誠実)」「自ら考え、発信できる女性(勤勉)」「他者を理解し、共生できる女性(友愛)」という、目指すべき三つの女性像に対応している。このうち「真の美しさを身につけた女性(誠実)」を実現するために取り組んでいるのが、「女性の(たしな)みプログラム」だ。

     このプログラムでは、中学で年間8時間ある礼法の授業や、高校のマナー講座などを通じて、礼儀作法や美しい立ち居振る舞いを身につけていく。

     礼法の授業は、小笠原流礼法の講師から直接、指導を受ける。立った姿勢でのお辞儀である「立礼」の作法からスタートし、和室と洋室での基本動作、食事の作法などについて学ぶ。「社会に出てからも役立つ」と好評で、中には就職活動の面接で礼法の所作を褒められ、内定を勝ち取った卒業生もいるという。

    所作を徹底して美しい立ち居振る舞いへ

    • 部屋に入るときの座礼の仕方を学ぶ
      部屋に入るときの座礼の仕方を学ぶ

     取材に訪れた9月25日は、中学1年生が26畳の広々とした和室で、座礼の仕方や本の渡し方についての礼法を学んでいた。

     廊下ですれ違った際、生徒たちは一様に「こんにちはー!」と大きな声であいさつしてきた。中学1年生らしく元気いっぱいだったが、生徒たちに続いて和室に入ると、中は静粛そのものだった。半年前までは小学生だったのだから、特別授業のときなどは騒いでも不思議ではないのだが、私語をする様子は見られなかった。ちゃんと、メリハリがついている。

     座敷に上がる際は、正面を向いたまま履物を脱ぎ、そのまま(かまち)に上がる。そして振り向いてしゃがみ、履物の向きを直す。その作法も徹底されている。

     講師である山本由子さんの声がかかる。「それでは授業を始めます。まずは座礼の復習をしましょう」。正座した生徒たちは、山本講師の指示に従って背筋を伸ばし、膝の上へ「ハ」の字に手を置いた。

     「肩の力を抜いておなかに意識を持っていって、あいさつの言葉を述べます。言い切ったら、手を膝の前に持っていってお辞儀。相手が目上の方の場合は、相手の姿勢が元に戻っているかを確認してから自分の手を膝上に戻します」

    • 礼法を教える山本由子講師
      礼法を教える山本由子講師

     座礼の復習に続き、今度は本の渡し方の礼法だ。まず、2人1組になるため、正座の状態から立ち上がる。早くもそこで、「まず足をつま立ててから、右手を本の下に入れ、左手は添えて、ゆっくりと立ち上がってください」と山本講師から細かい注意があった。一つ一つの細かい所作に気を配り、徹底することで、やがて美しい立ち居振る舞いができるようになるという。

     向かい合って正座した組ができると、片方の生徒が膝の前に置いた本を手に取り、膝立ちの姿勢のまま、相手の前まで静かに進む。「膝行(しっこう)」という難しい所作だ。相手にとって正対するように本を持ち替えて畳に置き、そのまま滑らせて相手に差し出すと、再び、膝行して元の位置まで戻った。

     この日は、目上の人がいる部屋に入り、あいさつをする所作の指導もあり、生徒たちは、真剣な表情でこれらの所作を繰り返しながら身につけていた。

    礼法を通じて精神的にも成長を

    • 広大な校地に立つ共立第二の校舎
      広大な校地に立つ共立第二の校舎

     礼法の授業を、生徒たちはどう感じているのだろう。ある生徒は「背筋を伸ばして正座をしたり、きちんとお辞儀をしたりする礼法の授業が終わると、すっきりして、次の授業に気持ちよく臨めます。家にいて、勉強に集中できないときなどは、礼法の授業を思い出して姿勢を正すようにしています」と話した。ほかにも、「和室は畳のいい香りがして、入るだけでも気持ちが落ち着く」「伝統文化に興味があるので、それに触れられるのがいい」などの声があり、生徒たちにとって楽しみな時間になっているのは間違いないようだ。

     山本講師は、「敬語を学ぶ機会は日常的にありますが、目上の方に対する所作はなかなか学ぶチャンスがありません。社会に出ると、どのタイミングであいさつをしたらいいのか、自分からした方がいいのかなど迷ってしまうことが多々あります。そんなときに、礼法の授業を思い出してくれるとうれしいです」と話す。

     「最初は形をまねているだけでも、そのうち気持ちもしゃんとしてくる。礼法を通じて、精神的にも成長してほしい」と期待を寄せた。

     礼法の授業は、心の姿勢を正しくすることにもつながる。建学の精神にある「社会的に自立した女性」へと成長してくれるに違いない。

    (文と写真:森祐一)

    2017年12月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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