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    共学だけど、授業は別学…副校長に聞く

    • 2006年に移転した校舎
      2006年に移転した校舎
    • 石川一郎副校長
      石川一郎副校長

     かえつ有明中・高等学校(東京都江東区東雲、学校法人・嘉悦学園)が今春、新しい概念の教育プログラムを始動させました。

     「共学だけど、授業は別学」。男子と女子の成長速度の違いや特質に注目し、それぞれの良さを最大限に引き出そうという試みです。このプロジェクトを発案し、積極的に推進してきた石川一郎副校長(理事)に狙いや特色、今後の課題などを聞きました。

    110年の歴史を踏まえて

     りんかい線の東雲駅で下車すると、眼前に首都高速・湾岸線と幅広い産業道路が広がっていた。お台場にも近く、ロケーションは抜群だ。駅前をしばらく歩くと、高層マンション群の立ち並ぶ一角に「かえつ有明」の白い校舎が現れた。

    • 玄関入り口には「ようこそ かえつ有明へ」のポスターが
      玄関入り口には「ようこそ かえつ有明へ」のポスターが

     嘉悦学園は、今からちょうど110年前の明治36(1903)年、わが国で最初の女子を対象にした商業学校「私立女子商業学校」としてスタートを切った。その当時から力点を置いてきたのが「女子の才能を発掘し、自立できる実学を身につけさせること」「知識や技術を生かして、社会に役立つ人間性豊かな女性を育てること」だ。これを軸にしつつ、男女共同参画時代の到来を受けて2006年には男女共学化を実現。「かえつ有明中・高等学校」と改称し、校舎も千代田区麹町から、現在の有明キャンパスに新築移転した。

     長い歴史を持つ女子校が心機一転、共学校として歩み始めて7年。なぜ、別学システムを導入したのだろうか? まずは素朴な質問を石川副校長にぶつけてみた。

    発達段階の違いにきめ細かく対応

    • 中学入学時点では、女子の方が成長が早い傾向にある
      中学入学時点では、女子の方が成長が早い傾向にある

     「中学入学時点では一般に、女子の方が成長が早く、男子は幼さが目立ちます。これは個人差というより、性差による発達段階の違いによる部分が大きい。ですから、入学後の一定期間は男女別学にして、それぞれに手をかけた方がきめ細かい教育ができるのではないかと考えました。導入にあたっては世界の教育事情も調べ、アメリカやシンガポールなどで、脳科学的なデータの分析結果を踏まえて、男女別学を採用している例があることも参考にしました」

    ――きめ細かい教育によって、さらに学力を伸ばしたいと?

    • 男子の方が、一般的には幼さが目立つ
      男子の方が、一般的には幼さが目立つ

     「そうですね。保護者のみなさまと接していますと『より、レベルの高い難関大学にわが子を合格させたい』という要望が高まっているのを肌で感じます。現場の教師も思いは同じです。『生徒の一人ひとりの能力を引き出し、目標を達成する手助けをしたい』『生徒の立場に立った指導をしたい』という気持ちが強まっています。公立中高一貫教育が広まる中で、私学ならではの、私学でしかできない特色を打ち出したい、という思いも当然ありました」

    男子5学級、女子2学級でスタート

    ――入学者数やクラス編成は?

    • クラブ活動も盛んで、陳列棚にはトロフィー類が並ぶ
      クラブ活動も盛んで、陳列棚にはトロフィー類が並ぶ

     「今春の入学者は、男子が150人(5学級)で、女子が62人(2学級)。昨年までの新入生(全体で170~180人前後)に比べ、やや増えています」

    ――男子と女子ではどんな違いが見られるのでしょうか?

     「まず一般論から申し上げますと、女子は先生の細かい指示に従いながら、梯子を一つひとつ昇っていくタイプが多いですね。指導者によって飛躍的な変化を遂げたなでしこジャパンの例をみてもお分かりだと思います。これに対し、男子は途中で何かと指示されるのを敬遠しがちですが、ヒントを与えると果敢にチャレンジしていく子が多い。ロジカルな考え方をするのも男子の特色です」

    ――教科ごとの学習について、具体的にご説明いただけませんか?

     「男子の場合、英語や国語では文法を重要視し、関係代名詞などにこだわる傾向にあります。一方、女子には情緒的な面があり、ストーリーを楽しむ子が多い。算数では、丁寧な指導が効果を発揮する女子に対し、男子には的確なタイミングでヒントを与える方法が効きますね。社会科では、男子は戦国時代など歴史を好み、女子は登場人物のキャラクターに関心を示す傾向がみられます」

    高2、高3は混合クラスで

    ――男女別学授業は高1までの4年間で、高2、高3は男女混合クラスで授業を受けているそうですね。その狙いは?

     「高校2年からは文系、理系、難関コースに分けて、男女混合クラスで学習する体制にしています。高2ぐらいになると、心身ともに落ち着いてきますので、共学の良さを効果的に取り入れ、男子と女子が互いに同じ教室の中で頑張る姿をみて、さらに良い影響を受けやすいようにするためです」

    ――今後の展望についてはどのようにお考えですか?

     「別学システムは私学だからできる大きな挑戦。まだ、スタートしたばかりで、全貌が見えるのは卒業生が出るようになる頃でしょうが、一人ひとりの潜在力を引き出し、可能性を伸ばす教育をめざしたいと思っています」

    • 従来の図書館の枠を超える「知的空間」として学びの場を提供する、情報センター「ドルフィン」
      従来の図書館の枠を超える「知的空間」として学びの場を提供する、情報センター「ドルフィン」

     男女別学を採用している中高一貫の私立学校には、高3に進級した段階で授業のみ同じ教室で受ける桐蔭学園(横浜市青葉区)や、完全別学の桐光学園(川崎市麻生区)、国学院久我山(東京都杉並区)などがある。かえつ有明が今回導入した指導システムは、“先輩たち”とはひと味違う、新たな試みとして、教育界も注目している。

    (文と写真:林 弘典、写真は一部かえつ有明中・高等学校提供)

    掲載日:2013年7月25日

    2013年07月25日 11時55分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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