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    男女共学化・学校統合で新しい学園が始まる…桐蔭学園

     桐蔭学園(横浜市)は2019年度入学から、中学校(男子部・女子部)の募集を停止し、男女共学化した中等教育学校(現在は男子のみ)に募集を一本化する。高等学校では2018年度募集から男女共学化が始まっている。改革の目標は、社会にイノベーションを起こせるような人物の育成だ。中学校・中等教育学校・高校の校長である岡田直哉氏に、「新しい桐蔭学園」のビジョンを聞いた。

    2019年度募集から男女共学化

    • 「夢を語る情熱を持ってほしい」と話す岡田直哉校長
      「夢を語る情熱を持ってほしい」と話す岡田直哉校長

     桐蔭学園が進めている学校改革のテーマは、共学化と中等教育学校への一本化だ。現在の中学・中等教育は、中学校男子部、中学校女子部と6年間一貫教育の中等教育学校(男子のみ)の3校に分かれているが、2019年度から中学校男子部と中学校女子部の募集を停止し、中等教育学校(男女共学化)へ一本化する。高校ではすでに、2018年度の入学者から男女共学化を進めている。

     「昨秋、2018年度に男女共学になる高等学校の説明会を実施しましたが、延べ9000人以上の来場者があり、席があっという間に埋まるほどの人気です。注目度の高さを実感しています」と岡田校長は話す。男女共学になる中等教育学校についても、「共学化するなら受験したい」という声が多く寄せられたという。

     この大きな改革の発端は、学園が創立50周年を迎えた2014年にさかのぼる。その際、今後50年の目標として「自ら考え判断し行動できる子どもたち」の育成が掲げられ、教育の具体的あり方を巡ってさまざまな議論が交わされた。

    • 緑豊かな丘の上に建つ学園
      緑豊かな丘の上に建つ学園

     「私も、この改革プロジェクトチームの座長として、たくさん議論してきました」と岡田校長は熱を込める。「生徒たちが社会へ飛び立つ2030年ころは、先の見通しがつかない時代になっています。多様性が広がり、グローバル化が進み、その中で、自分で主体的に道を開いていき、社会でイノベーションを起こすことができる人材を育てることが必要なのです」。

     この目標実現に向けて、「アクティブラーニング(以下、AL)型授業」「探究的な学習」「キャリア教育」という3大柱が導入された。特にAL型授業は、第一人者である京都大学・溝上慎一教授の監修を受けて3年前に導入され、大きな成果を上げてきたが、その過程で、ある疑問が生まれた。

     「AL型授業は、多様性への理解を育み、協働性を育てていくことが目的です。社会に出たとき、自分とは全く違う他人を理解するところから協働性が生まれます。それなのに、男女別々での授業はどうなのかと。将来を考えると、男子だけ、女子だけという教育では対応できなくなります。多様性を広げよう。それが男女共学化に踏み切った一番の大きな理由です」

    中等教育学校で一貫性を高める

    • 学園のシンボル、桐蔭学園シンフォニーホール
      学園のシンボル、桐蔭学園シンフォニーホール

     共学化と並ぶ、改革のもう一つのテーマ「中等教育学校への一本化」については、どういう狙いがあるのだろう。

     「6年間一貫教育の中等教育学校の、一貫性を強めることが目的です。6年間の独自のプログラムを強化します。探究的な学習、キャリア教育も6年間のプログラムになっています。これまで、中学校(男子部と女子部)から高等学校(男子部と女子部)へ進学する際、内進生と一緒になる外進生(他中学からの入学生)が不安を覚えることがありましたが、それも解消されます。高等学校は他中学からの入学生だけの男女共学校になります。高校3年間のプログラムも、中等教育学校とは別に組みます」

     中等教育学校の入学生は6年間、高校からの入学生は3年間、それぞれのカリキュラムで学ぶことになるが、学園祭などでは、協働していく場も設定していくという。

     6年間一貫教育は、高校受験への対応が不要になるため、カリキュラムを前倒しして大学受験へ早期対応することが可能になるといわれる。これも改革の狙いだろうか。これについて岡田校長は、「いえ、必ずしも最初から急いでやっていこうということではありません。前期課程(中学相当)のうちは、着実にゆっくり、回り道をしてもいいと思っています。授業数は多いので、結果的に公立より速い進度になりますが、重視しているのは、AL型授業を通じて主体的にやっていく力を伸ばすことです」と話す。

     「無理やり勉強させても、生徒は伸びません。主体的にやる生徒が強いのです。人生において主体的にやる姿勢をつければ、大学受験も人生の過程の一つで、乗り越えられるのです。ですから、結果的に大学合格の実績も伸びることになるのです」

    「夢を語れる情熱を持ってほしい」

     昨年4月、校長に就任した岡田校長が、生徒たちに何度も話してきたことがある。「夢を語れる情熱を持ってほしい、ということです。夢を心の中だけに秘めておくのもいいけれど、アウトプットしてほしいのです。それができるのが情熱です。自分自身も、そうした情熱を持っていたいと思っています。自分自身もリノベーションしていきたいと思っています」

     岡田校長は、自身も桐蔭学園中学校・高等学校の卒業生だ。「変わり続けるのが、桐蔭マインドなのです。私の在学中から、生徒自身が考え、行動するという伝統がありました。常に変わり続けていく、イノベーションを起こしていく。変わるとは、何かを捨てて、新しいことを生み出すことです。私自身も、そうありたいと思っています。日本の教育界に、イノベーションを起こすことを信条としていたい」

     自らも主体的、情熱的な生き方を目指す岡田校長の下、新しい桐蔭学園が始まる。何年か先、同学園から巣立つ卒業生たちも、きっと社会に新しい何かをもたらしてくれることだろう。

     (文と写真:小山美香 一部写真:桐蔭学園提供)

    2018年02月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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