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    18年2月1日午後、「サンライズ入試」の実施決定…日出学園

     日出学園中学校・高等学校(千葉県市川市)は、従来の推薦入試、一般入試に加え、2018年2月1日(午後2時、午後3時の2回)から、新たに「サンライズ入試」を実施することを決めた。与えられた問題に対し、5分から10分程度かけて、口頭で解答するというものだ。「表現力、思考力、判断力を伸ばす日出学園の教育に沿った新しい入試制度」と堤雅義校長は説明する。新入試導入のねらいと、具体的な内容について聞いた。

    ペーパーテストでなく、個別の口頭試験

    • 日出学園中学校・高等学校の両校長を務める堤雅義氏
      日出学園中学校・高等学校の両校長を務める堤雅義氏

    ――サンライズ入試とは、どんな試験ですか。

     本校にとって今までにない、まったく新しいタイプの入学試験です。推薦入試と一般入試では、国語と算数の2教科、あるいは理科、社会を加えた4教科のペーパーテストにグループ面接、推薦入試では作文も実施しています。サンライズ入試は、それらとは異なった面から合否を判断するものです。

     個別に、筆記ではなく口頭で答える試験です。実施は、2月1日。すなわち、首都圏中学受験の初日の午後です。

    ――どんな問題ですか。

     問題はまだ作成していません。

     すでに公開している入試案内では、「電話の相手にアメリカかフランスの国旗を説明しなければなりません。あなたなら、どう説明しますか?」という、ヒントとなる例題を公開しています。

     知識を問うものではありませんし、ひとつの正解を導き出す問題でもありません。小学6年生なりに自分の主張を表現し、どうしてそのように考えたのかを説明する試験です。

    処理能力でなく、学習姿勢を問う

    ――出願資格があるのですね。

     はい、次の資格をひとつ以上持っていることを受験資格に定めました。漢字検定5級以上、数学検定6級以上、英語検定4級以上、TOEFL Primary204点以上、TOEIC Bridge92点以上、ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)4級以上、統計検定4級以上です。

     注目しているのは、学力ではなく学習姿勢です。偏差値で測る学力ではありません。漢字検定5級、数学検定6級のレベルは小学6年生程度です。資格のレベルを問うているのではなく、小学校の学び以外で、学習面で継続的になにか一つ、外部試験などに向かい、やり遂げたかという点です。レベルではなく、学習姿勢を持っているかに注目します。

     これらの資格をひとつでも持っているのは、かなり意識の高い小学生でしょう。いくら発言力があっても、学習姿勢のない生徒を伸ばすのは難しいでしょう。

     英語の検定資格を加えているのは、帰国子女への期待です。学んできた環境が異なることから、表現力や発言力が豊かだと考えています。ですから、中学受験の準備が遅く、トレーニング型の受験勉強には間に合わなかったけれど、中高は教育方針が合う私学でわが子を学ばせたいという保護者にも、注目していただきたいですね。

    社会で求められる自己表現力

    • サンライズ入試のイメージ
      サンライズ入試のイメージ

    ――サンライズ入試で、どんな受験生を期待しているのでしょうか。

     表現力のある生徒です。本校は、小学校から内部進学する生徒がいますが、少人数で家族的であるため、いい意味でお坊ちゃん、お嬢さんの学校だと古くから言われています。校風が穏やかなのです。彼らに「中学から入学する子たちに、日出学園の伝統を伝えてください」と話しています。穏やかな伝統は伝えてくれるのですが、発信力については、中高で大きく伸ばしていきたいと、学校として考えています。

     部活動で活躍してパフォーマンスを出す子もいますし、英語のスピーチなどで堂々と発表する生徒もいます。場を与えられれば、しっかり自己表現する子はいるのです。ですから、普段から自己表現できる環境にしていきたいと思っています。

     というのも、表現力、思考力、判断力などは、社会で最も必要とされる能力だからです。文科省が言う「生きる力」を丁寧に見ていくと、これらの力になります。2020年から新しくなる大学入試で問われることと、方向性は同じです。就職活動で企業から求められるのも、このような能力です。企業の人事担当者への「どんな人材が欲しいか」というアンケートでも、このような力が重視されていました。コミュニケーション能力や、仲間をつくっていく力も挙がっていました。

     中高の6年間で表現力、思考力、判断力やコミュニケーション能力、仲間をつくっていく力を伸ばしていくために、サンライズ入試では、自己表現力を問い、このような能力を伸ばす可能性をもった生徒を発掘していきたい考えです。

    • 発表やプレゼンテーションの機会を多く設け、表現力の育成に努めている
      発表やプレゼンテーションの機会を多く設け、表現力の育成に努めている

    ――それは自分の意見を述べ、リーダーとなるような生徒でしょうか。

     はい。自己表現力がある、あるいは、その原石を持った生徒です。原石でいいのです。大きく伸ばしていくのが、日出学園での6年間です。

     そのために、たとえば国語や英語などの授業の中で、従来は文章を作るところで終わっていたのを、みんなの前で発表するようにしています。これからの時代、大学入試も変わるし、社会も変わります。少子高齢化の日本から、世界に出て行くという流れです。今後は外国語の運用能力だけでなく、自分から発言し行動していくことが求められます。

     学力の伸びる時期は、その子によって違います。早熟であれば中学入試で有利でしょう。高校生になってから、驚くほど伸びる生徒もいます。一般的に、女子生徒はコツコツと取り組むことから優秀な生徒が多いのですが、学力の伸びにも個性があります。

     中学受験に備えるのが遅かった。帰国子女であることを前向きに捉えてくれる学校がいい。ペーパーテストは苦手だけれど、話すのは得意。そのような、推薦や一般入試では測ることのできない能力をもった生徒に、ぜひ挑戦してほしいですね。

    中高の全教員が合否判定に関わる

    ――学力テストの点数で合否が決まるのではなく、個別の口頭試験では属人的な合否判断になりませんか。

     試験会場で立ち会う先生は各教室2人から3人ですが、合否は中高の全教員51人で判断します。

     具体的には、試験の様子を動画で撮影します。それを校内のシステムで全教員が共有し、教員は各自のタブレットで全ての受験生の試験の様子を確認します。その上で、タブレット上で意見を集約、合否を決定する仕組みを作りました。

     高校の科目「情報」の授業が充実していることが本校の特徴の一つなのですが、情報を担当する教員の努力で、このような新しい取り組みを実現できました。全教員各自のパソコンとタブレットがあり、普段から情報共有や意見交換に利用しています。

    • 職員室に隣接する生徒が先生と懇談できるスペース
      職員室に隣接する生徒が先生と懇談できるスペース

     面接試験は、試験官の人数が限られます。通常2、3人というところでしょう。中高の教員51人全員による合否判定が良いのは、さまざまな視点から評価できる点です。社会の先生と美術の先生では、専門が異なることから、見え方が違います。本校は中高の職員室が一緒で、教員も両方の授業を受け持つ場合が多い。中学入試とはいえ、中学教諭だけの目ではない点も特徴です。

     タブレットによる動画視聴と投稿のシステムによって、入試から合格発表までの短い期間に、多面的に評価できるようになりました。

     実は今、51人全員に試験問題の作成をお願いしています。

    ――サンライズ入試の受験生は、どんな準備をしたらいいのでしょうか。

     正解のある問題ではないので、小学6年生ならではの伸び伸びとした発想で、自由にお話ししてほしいですね。問いに対し、自分の主張が入っていて、どうしてそう考えたのかを、話します。大人と同じレベルではもちろんありませんが、小学6年生レベルでの論理の破綻がないこともポイントです。といっても、難しいことではありません。たとえば最初に話したことが、話すうちに違う意見になっていないか考えて話しましょう。

     服装も、普段通りの小学校に行く格好で、特別な服装は不要です。12歳までに経験したことを、うまく出してほしいと思っています。

     試験は、2月1日午後2時と午後3時の回があり、どちらかを選んで出願できます。個性と可能性を持った受験生の挑戦を待っています。

     (文と写真:水崎真智子 一部写真:日出学園中学校・高等学校提供)

    2017年11月29日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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