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    改革を引っ張るインターナショナルコース…広尾学園

     広尾学園中学校・高等学校(東京都港区)は、2007年の共学化と同時にインターナショナルコースを設置し、授業の大半を英語で行っている。海外の大学への進学にも有利とあって、近年は帰国子女だけでなく、海外経験のない受験者も急増。同校を特色づける存在になっている。11年目となる今の様子を、金子暁副校長とインターナショナルコース統括長の植松久恵教諭に聞いた。

    共学化11年、止まらない学校改革

    • 生徒が取材、執筆して発行している英字新聞
      生徒が取材、執筆して発行している英字新聞

     「広尾学園になって11年目になりますが、本校は今も変わり続けています」と金子副校長は話す。

     前身の順心女子学園から続く、積極的な帰国子女受け入れの伝統を引き継ぎ、2007年に共学化して広尾学園と改称すると同時に、インターナショナルコースを設置した。11年には医進・サイエンスコースも設置し、本科コースと合わせて3コースをそろえている。その後も授業でのIT活用など、時代の先をゆく大胆な学校改革を図ってきた。その結果、数ある都内私立学校の中でも有数の人気校となっている。

     「最近では、東大を始め、女子校時代には考えもしなかったような難関大学進学者が出ています。しかし、彼らが入学したのは、改革からまだ間もない時期で、入学時の偏差値はそれほど高くありませんでした。普通の子が入ってきて、本校の環境の中で学ぶうちに、驚くほど変わっていったのです」

    校内はそのままグローバル環境

    • インターナショナルコース統括長の植松久恵教諭
      インターナショナルコース統括長の植松久恵教諭

     同校を生まれ変わらせた改革のムードを常に牽引(けんいん)してきたのは、やはりインターナショナルコースだ。英語を母語とする外国人教員が21人在籍し、各教科の授業を英語で行う。生徒の人種や国籍もさまざまだ。

     まるで、普通の中高校の中にインターナショナルスクールが共存しているように見える。もちろん、学校行事や部活動、一部の授業では、他コースとも交流している。そのため校内がそのまま、グローバルな環境になっているのだ。

     世界各地からの帰国子女、本人や親が外国籍といったバイリンガルの生徒に加え、将来のために英語で教育を受けたいという日本人生徒も在籍している。しかしながら、海外経験のない日本人生徒がいきなり英語だけで授業を受けるのは難しい。そこで、入試の時点から二つのグループに分けて募集し、中学の間はそれぞれに対応したカリキュラムを組んでいる。

     英語の入試で入学したAG(Advanced Group)の授業は、国語と社会の一部以外は英語で行われる。これに対し、日本語の教科試験で入学したSG(Standard Group)は、本科と同じく日本語で授業を受け、英語の授業だけが特化したプログラムになっている。

     ユニークなのは、SG20人、AG20人が一つのクラスとしてホームルームを構成し、日本人教員1人、ネイティブ教員1人の2人担任制になっているところだ。

     植松教諭によると、重要なお知らせは、ネイティブ教員が英語で伝えるようにしているという。「SGの生徒は、必要性と危機感から、必死に聞くようになります。わからなければAGの生徒に聞いたりしてもいいのですが、毎日のことですから、次第に耳が慣れていき、聞き取れるようになるのです」

     クラス全員が日本語で受ける国語や社会の授業では、ずっと日本で暮らしてきた生徒の方が優位になる。二つのグループを同じクラスに入れることによって、良い影響を与え合う関係が形成されるという。

    インターナショナルスクールとは違う

     英語で授業を受けられるグローバルな教育環境という点では、インターナショナルスクールも同様だが、同校のインターナショナルコースが大きく違う点は、学校教育法第一条に定められた学校の定義に該当する「一条校」ということだ。

     国内のインターナショナルスクールは、卒業しても日本の高校卒業資格を取ることのできない各種学校や無認可校がほとんどだ。日本の大学に進学希望する場合、特別枠のある大学を選ぶか、文科省が実施する高卒認定試験を受け、資格を得る必要がある。

     その点、同校のインターナショナルコースなら、資格の心配がなく、実践的な英語力が身に付くので大学入試では国内、海外いずれも自由に選択ができる。また、中学をインターナショナルコースで卒業し、高校で医進・サイエンスコースに進むといった選択も可能だ。

    海外への進学に有利なプログラムも

    • アメリカの大学1、2年レベルのプログラム、APを昨年から導入
      アメリカの大学1、2年レベルのプログラム、APを昨年から導入

     インターナショナルコースの生徒には、海外の大学への進学希望者が多い。そこで問題となるのは、費用の問題だ。

     植松教諭によると、米ハーバード大学の2016年の学費は年間4万7000ドル(500万円超)。これに家賃や生活費を加えると、一般家庭ではとても負担できない金額になる。州立大学など、その半分以下ですむ大学もあるが、それでも日本の大学の倍以上の金額になるという。

     アメリカの大学は学費が高い一方、奨学金の種類も多い。より有利な奨学金を獲得するためには、出願時に良い成績をアピールする必要がある。植松教諭は「特にアメリカは、大学の学費が非常に高いので、できるだけ多くの奨学金を取って、進学してほしいと思っています」と話す。

     アメリカの大学入試は多様で、高校の成績や活動記録、推薦状、SATやACTといった標準テストの成績などによって、総合的に判断される。中でもSATの成績は、アメリカ以外の海外の大学や、一部の日本の大学を受験するのにも使える。インターナショナルコースの生徒は、SATの予備試験であるPSATを中学3年、SATを高校1年で受験している。

     さらに、SATを主催しているアメリカの非営利団体College Boardは、SATでは差がつかない優秀層向けに、大学1、2年の教養課程で学ぶレベルの内容のAP(Advanced Placement)というプログラムも用意している。

     植松教諭によると。同校は昨年からこのAPのプログラムを取り入れており、今年は17人の生徒が、37科目のうち6科目に挑戦したという。これを可能にするのは、大学並みの高度な授業ができることだ。「アメリカの大学レベルの授業についていくことができる生徒と、それを教えられる教員と、両方がそろっていないと実施できません。今の本校には、それがそろっているのです」

     同校のインターナショナルコースは、夢を可能にするジャンピングボードになることだろう。(文と写真:織江理央)

    2017年08月01日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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