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    電子黒板に熱視線、集中力アップ…立正大立正

     立正大学付属立正中学校・高等学校(東京都大田区)は、2016年4月から中学の全教室にプロジェクター付き電子黒板を設置した。新しい授業の導入に積極的な教員たちの声に応えての取り組みだ。本格導入2年目の今年、授業はどう変わり、生徒はどう受け止めているのか。ICT(情報通信技術)担当で英語科の杉山茂巳教諭に今後の展望を聞くとともに授業風景を紹介する。

    新しいものを積極的に取り入れる風土

    • ICT担当の英語科・杉山茂巳教諭
      ICT担当の英語科・杉山茂巳教諭

     プロジェクター付き電子黒板の設置によって、すべての教科で本格的にICTを活用した新しい授業スタイルが可能になったという。

     現在地に移転した2013年当時、インターネット環境はすべての普通教室に完備したが、電子黒板を整備したのは一部教室だけだった。教員向けには、共有のパソコン15台で、動画を閲覧したり、インターネットで情報を検索したりできるようにし、ICT導入の第1段階を終えたはずだったが、「想定以上に教員からの需要が多く、電子黒板もパソコンも足りないという声が上がりました」と、同校のICT担当で英語科の杉山茂巳教諭が振り返る。そこで昨年度、中学の全教室にプロジェクター付き電子黒板を設置したという。

     教育現場が速やかなICT化を受け入れ、一層の充実を求めてきた背景について、杉山教諭は「現在のようにインターネットが普及する以前から、当校はコンピューターを使った学習システムを取り入れていました。昔から、新しいものを積極的に取り入れる風土があるんです」と話す。

     同校は30年ほど前から、CAI(Computer Assisted Instruction)を使った授業を行っていた。当時はまだ専用の教室でしか使えないシステムだったが、ICTの世界への着目は早かった。1997年にはインターネットを導入し、英語を中心に教材をダウンロードして授業で活用するようになった。同時に、端末を家庭に配布し、学校からの情報配信も開始した。現在も、掲示板やアルバムの共有、緊急連絡など、学校と家庭を結ぶツールとして活用している。

    手元にとらわれず、講義に耳澄ませる

    • 電子黒板を使った中学2年の英語の授業
      電子黒板を使った中学2年の英語の授業

     取材に訪れた10月27日、中学2年の英語の授業でICTの活用を見学した。この日は、助動詞「will」や「be going to」など未来形の表現について学ぶ予定だ。英語科の松村広聡教諭が、まず普通の黒板に板書しながら「will」の過去形や否定形、疑問形などの説明をする。ノートを取りながら講義を聴き終わると、生徒たちは英文中の空欄を埋める穴埋め問題など教科書の練習問題を解き始めた。

     松村教諭はこの間にパソコンを起動して、電子黒板にテキストと同じページの画像を表示した。「教科書やテストなどはあらかじめスキャンして取り込んであります」。問題を解き終わった生徒たちが全員、電子黒板に注目した。松村教諭は生徒たちに次々答えを言わせながら、正解を電子黒板に書き込んでいく。この間、生徒たちは手元の教科書にほとんど目を落とすことなく、電子黒板のほうを向いたまま講義に耳を澄ませていた。

     同じ中学2年の国語の授業では、「五段活用」「上一段活用」など、動詞の活用について学んでいた。国語科の竹内真由美教諭は、事前にパワーポイントで作成した活用表や説明資料を電子黒板に表示し、同じ内容のB5判サイズのプリントを生徒に配布した。

    • 国語の授業の最後に行われた小テスト
      国語の授業の最後に行われた小テスト

     竹内教諭が活用形や文法のポイントを説明しながら、電子黒板上の空欄に書き込んでいくと、生徒たちは手元のプリントの空欄を埋めていく。先生が電子黒板に書き込んでいるところは、そのまま大切なポイントということになるので、授業の要点がつかみやすい。

     竹内教諭は次に、電子黒板に映し出した表の一番上に「書く/洗う/読む/寝る/起きる」と動詞を書いた。生徒を指名し、それらの動詞の下に活用語尾を書き込ませる。答え合わせをする間も、ほとんどの生徒たちは顔を上げて電子黒板に注目していた。

     授業の最後の小テストでも竹内教諭は、生徒たちに配ったテスト用紙を電子黒板に表示し、書き込みながら答え合わせをしていく。途中で時間切れとなったが、「次回はこの続きからやります」。電子黒板なら、次回の授業で板書し直すことなく、答え合わせの続きを始めることができる。

    教材ストックや授業動画、広がるメリット

     電子黒板を使うと、先生が板書する時間と、生徒がそれをノートに書き写す時間が極めて短いのに気が付いた。「板書とノートを取る時間を削減できれば、授業にじっくり時間をかけられます。電子黒板にあらかじめ作っておいた資料を表示すれば、板書も最小限で済みますし、生徒たちの集中力も途切れることはありません」と、杉山教諭は電子黒板のメリットを説明する。

     授業では、教科書などをスキャンしたもののほか、教員が事前にパワーポイントで作成した教材が使われる。「その場で色を変えてみたり、音を出したりなど、紙や黒板ではできないことが電子黒板ならできるので、授業にメリハリがつきます。また同じ教材を繰り返し使えることもメリットですね。休んだ生徒とも授業と同じ内容を共有できます。今後は復習教材としてストックしていくことも検討しています」

     同校は、授業動画アプリの「スタディサプリ」に対応したタブレットも200台用意した。現在は、放課後の自主学習などで使えるよう貸し出している。杉山教諭はこのタブレットの活用についても期待を寄せている。「来年度から授業でどう使っていくか、現在研究しているところです。タブレットを活用することで、道具を利用して何かを作りだす、問題を解決するというスキルを身に付けられるのではないかと思っています。いずれは全員が使える台数を確保したいと考えています」

     ICTを活用した新しい授業について生徒たちはどう受け止めているのだろう。中学2年の黒杉涼さんは、「黒板は文字が小さいと見づらいけれど、電子黒板は字が拡大できるので見やすいし、どこを説明しているのかが分かりやすいです」と話した。同じく中学2年の圷琴美さんは、「家ではYouTubeなどの動画はあまり見ませんが、英語で日本文化を説明するために、授業で能や狂言の動画を見て、とても面白かった。家のタブレットでもスタディサプリを使って予習・復習をしているので、授業が理解しやすくなりました」と喜んでいた。

     教員たちのICTに対する意識も高く、「年に2、3回、教員の研修を行っていますが、若い先生を中心にさまざまなプランやアイデアが出ています。今後は教科を超えてどう連携させていくかが課題ですね」と杉山教諭は話した。

     ICTの環境を本格化させてからまだ2年目。新しいものを積極的に取り入れてきた伝統の中で、授業はどう変わり、生徒たちはどう変わっていくのか。これからがますます注目される。

    (文:石井りえ 写真:中学受験サポート担当)

    2017年12月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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