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    医学部・附属病院の一日体験授業で志望生を応援…帝京大中

     医学部を目指す生徒が増えている帝京大学中学校・高等学校(東京都八王子市)では、医学部受験を応援するため、帝京大学医学部と同附属病院(いずれも東京都板橋区)で一日体験授業を実施した。医学部の先生による特別講義や救急救命の体験授業、手術室やドクターヘリのヘリポートの見学などの体験は、高大連携できる同校ならではのことだろう。貴重な経験をした生徒たちの様子をリポートする。

    一日体験授業で医師になりたい生徒のモチベーション強化

    • 帝京大学中学校・高等学校の冲永寛子校長
      帝京大学中学校・高等学校の冲永寛子校長

     一日体験授業に参加したのは高3のOさん、高2のNさん、Hくん、Sくんの4人。Hくんは「中2のときに大きな病気を患い、初めて入院と手術を経験しました。そのときに手術をしてくれた男性医師がとても優しく、こんな医師になりたいと憧れました」と医学部を目指す理由を話す。

     同校広報部主任の石戸達則教諭は、「東日本大震災後、医師を目指す生徒が増えてきました。こうした生徒の志望を受け、大学側の全面的な協力のもと、今回の新たな企画が実現しました」と説明する。帝京大学医学部附属病院の医師でもある冲永寛子校長もこの一日体験授業に駆けつけ、「医療者としての心構えを少しでも感じてもらいたいです。医学部受験者は年々増加し、難化の一途をたどっています。モチベーションを強く持ちながら、日々の勉強をしっかり進めていくことが医学部への近道です。今日ここで感じたことをモチベーションづくりに生かしてもらえれば」とアドバイスした。

    チーム医療の精神を学べる帝京大医学部

    • 笹島ゆう子教授による講義「医学部を志すにあたっての心構え」
      笹島ゆう子教授による講義「医学部を志すにあたっての心構え」

     一日体験授業の始まりとなる講義「医学部を志すにあたっての心構え」の中で、笹島ゆう子教授は次のように訴えた。

     「医師をはじめとする各部門の専門家が協力し、患者を中心にしたチームを組んで治療にあたるのが、チーム医療です。そのために重要なのは医師としてのコミュニケーション能力を身につけることです。医師は生涯、勉強の連続です。勉強して勉強して、終わったと思ってもまた勉強。でも、医師になって損したという人は誰もいません。とてもやりがいのある職業です。みなさんもぜひ挑戦してください」

     講義の後には質疑応答があった。医師である父親の姿に憧れて志したというOさんは、「英語で診察することもありますか」と質問。笹島教授は「グローバル化で外国人患者も増えているので話すことも大事ですが、何より、最新の医学論文は必ず英語なので、それを読まなくてはなりません。また、自分がキャリアアップするには、英語の論文を書くことが必要です。英語の読み書きを中心に勉強してください」と答えた。

     また、世界一平均寿命の短い国、アフリカのシエラレオネ共和国の募金活動を通して、医師を志すようになったというNさんは、「どんな人が医師に向いていますか」と質問。「自分の興味がある分野に限らず、幅広くなんでも真面目に目の前の課題に取り組む、真摯(しんし)に勉強に取り組む人が向いています。一見、役に立ちそうにもない知識が、診察で役立つこともあるからです。そして、どんな分野の医師になったとしても、患者のことをいつも考えているような人でなければなりません」と笹島教授は答えた。

    救命救急の現場を見学、現役ドクターの話を聞く

    • 金子一郎准教授から高度救命救急センターの説明を受ける
      金子一郎准教授から高度救命救急センターの説明を受ける

     次は、金子一郎准教授の解説による、高度救命救急センターの見学だ。初期治療を行うリスターセーションルーム、血管内治療を行うIVR-CT室など、年間約2500例の重症救急患者を受け入れて治療する現場だ。いつ救急車が到着してもおかしくない状況のなか、説明を聞く生徒たちのまなざしは真剣だ。ICU(集中治療室)では、16床すべてで呼吸や心肺などのバイタルデータがモニターで管理され、常に患者の状態が把握されている。まるで医療ドラマを見ているようだ。2009年に完成した19階建ての最新病棟では、数々のドラマの撮影が行われている。

     同センターの西竜一医師からも貴重な話を聞くことができた。「忙しいけれども、とてもやりがいがあるし、充実しています。最初のうちは怖くて、自分の無力さを感じていたけれど、だんだん慣れてきます。運ばれてくる患者は何科の病気かわからない状態なので、そこを採血やCT(コンピューター断層撮影)などでいかに情報を引き出して判断するか。どんな状態でもファーストタッチ(病院での最初に行う診察のこと)ができる医師でいたいと思っています」と語る西医師は、帝京大学医学部卒。忙しいなか、生徒たちの質問にも丁寧に答え、Sくんも「一番印象に残ったのが救命救急センターでした。医学部に進学したい気持ちが強くなりました」と、胸にその言葉を刻んだようだった。

    医学部の授業を体験

    • 4人で連携して救命処置のシミュレーションを行った
      4人で連携して救命処置のシミュレーションを行った

     続いては、秋山暢教授、金子准教授、竹内保男講師の3人の先生による模擬授業「救命救急体験 Save Life」。実際の医学部の授業とほぼ同じ内容を体験した。シミュレーション室に置かれた実物大の人形を相手に、50代男性がうめき声とともに意識を失ったという設定で、心臓マッサージの仕方やAED(自動体外除細動器)の使い方、モニター付き除細動器の電気ショックで蘇生させる方法、バッグ・バルブ・マスク(人工呼吸器)の使い方などファーストエイド(応急処置)の基礎を学んだ。

     「初めてにしては、みなさん上手でした。胸骨の圧迫(心臓マッサージ)が一番大切です。ずっと一人でやり続けると疲れて質が悪くなってしまいますから、『誰か来てください』と声をかけて、交代してもらうことが大切です」と秋山教授。

     Hくんは、「実習が一番印象に残りました。実際の医療現場に出る前に何度も練習するんですね」と感心していた。

    救急支援車からヘリポートまで、普段見られない現場を見学

    • 大規模災害時に大きな役割を果たすヘリポートを見学
      大規模災害時に大きな役割を果たすヘリポートを見学

     大学の学食でボリューム満点の昼食をとった後は、病院内を見学。災害発生時に災害現場の対策本部としても活躍する救急支援車・DMATカーの内部を見て、説明を受けた。最新の運動マシンを備えた心臓リハビリセンターや、屋上のドクターヘリのヘリポートも特別に見学した。ヘリポートは東日本大震災でも活躍、被災地からの患者を受け入れたという。ベッド数1078、1日の外来患者数約1600人という大学病院のスケールに生徒たちは圧倒され、「ヘリポートなどの設備がすごくて驚きました。これから、本腰を入れて受験勉強に取り組むモチベーションになりました」(Oさん)との声があがった。

     今回の一日体験授業を企画した、高2学年主任の大塚啓之教諭がこう話す。「オープンキャンパスとは違って、こちらの希望に沿った内容で、まさにオーダーメイドの特別授業になりました。本校では医学部を志望する生徒には、小論文や模擬面接の個別指導で十分に対策していますが、やはり最後に合格を決めるのは、心構え、モチベーションです。今日の経験がそれを少しでも強くできればと思っています」

     2016年度の同校の医学部合格者は現浪含め、のべ18人(帝京大医学部への系列校推薦枠を利用した入学者を含む)。同校は、この一日体験授業を今後につなげ、ますます医学部や難関大学への合格者を増やそうと意気込んでいる。生徒たちはその胸に、大きな志を抱いたことだろう。

     (文と写真:小山美香)

    2017年11月10日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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