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    東大に2人合格、中高一貫化で高実績…二松學舍柏

     昨年度の大学入試で、東京大学合格2人のほか、難関大学の合格者数を飛躍的に伸ばした二松學舍大学附属柏中学校・高等学校(千葉県柏市)。6年前に開設した附属中学校の第1期生が受験して、中高一貫教育の成果が初めて進学実績に反映された。同校の教育の特色と取り組みについて、島田達彦副校長と中学学年主任の森寿直教諭に聞いた。

    「知ること」が“カッコいい”

    • 教育の特色と取り組みについて語る島田達彦副校長
      教育の特色と取り組みについて語る島田達彦副校長

     2016年度大学入試において、同校から東京大学に現役合格した2人はいずれも中学から入学した生徒。GMARCHの合格者は81人と従来の4倍にのぼり、うち54人が同じく中学からの生徒だ。

     この実績について、中学校のカリキュラムの整備に携わってきた島田副校長は「本校の中高一貫教育の成果だと思っています」と話し、次のように続けた。

     「二松學舍は日本が世界に目を向け始めた明治時代に、自国だけでなく異国の文化を理解し社会に貢献できる“真の国際人”の養成を目指し創立されました。いま文科省が唱える『“グローバル人材”の育成』を、本校は当初から建学の理念として掲げていたわけです。この理念は何ら変わるところがありません」

     時代を先取りする建学の理念を、中学から実践すべく開設した二松柏中学。ここで学んだ生徒の多くが、高校で飛躍的に学力を伸ばしているという。

     「今年東大に行った生徒の1人は、中学時代を思い起こすと正直“よくぞ頑張った”という印象でした」。こう語る島田副校長が強調するのは、中学期の教育の重要性だ。学習の習慣づけもさることながら、カギとなるのは「意識づけ」だという。

     「以前は、難しい課題を前にすると及び腰になる生徒が多かったのですが、中学入学の生徒は、むしろ“面白い”と捉える子が多い。『しっかり取り組めばできる』という自己肯定感が多くの生徒から感じられます」

     「知を“カッコいい”と捉える感覚が育ってきました。たとえば休みの日に博物館へ行き、親御さんに買ってもらった図鑑を翌日、クラスで友人に見せ、周囲に人だかりができる。京都・奈良研修で史跡の見学をした時は、展示物の説明を丹念に読む生徒が多いため時間が押してしまい、旅行業者をやきもきさせたこともあります。休み時間のなにげない会話も、その日のニュースに関することだったりして、頼もしいと感じます」

    知性を輝かせる「自問自答」教育

    • 中1「沼の教室」では、地元の手賀沼を題材にアクティブラーニングを行う
      中1「沼の教室」では、地元の手賀沼を題材にアクティブラーニングを行う

     こうした意識を育むために、中学の3年間で導入されているのが、自ら課題を見つけ、自ら答えを導きだす「自問自答」式のアクティブラーニングだ。

     学年ごとに「地域」から「日本」「世界」へとより視野を広げつつ、教科の枠を超えて調査やインタビュー、考察、発表を行う。各学年の前半は「自問編」として自分の研究テーマを定め、文化祭で決意表明を行う。残りの半年はテーマに基づいて調査、研究を進め、資料をまとめて学年末に発表する「自答編」となる。

     中1では地元の「手賀沼」が共通の題材になる。中学校の授業を統括する森教諭は「この沼は格好の教材」と言う。

     「たとえば、沼の水質や生息する生き物を調べるのは理科の領域。それを統計してデータ化するのは数学。沼の歴史や地域との関わりは社会科。関連する海外の文献を読むには英語、さらに手賀沼は志賀直哉など白樺派の文豪ゆかりの地であることから、文学にもアプローチできます。まず身近なところを題材にすることで、自分たちや世の中に深く関わるという意識が持てるのです」

     中2では、視野を日本の文化や歴史に広げ、京都・奈良研修を柱とした学習と発表を行う。中3では、海外研修旅行で見聞を広げる一方、個人の自由テーマに基づいて調査研究を行い、中学卒業時に8000字の「研究論文」を書き上げる。

     授業以外にも、生徒の関心の幅を広げるプログラムを多く取り入れている。たとえば朝のホームルームで、大手新聞3紙のコラムを読んで比較し、意見を交換する「新聞読み合わせ」。3年間で4万2195ページを読むのを目標とする「読書マラソン」では、途中、読んだ本の概要と感想を1分間でスピーチする。また、スキー教室で雪の結晶観察や星座観測を行うなど、四季折々の自然に触れる機会も多く設けられている。

    学年全体を引っ張る「グローバルコース」生

    • オーストラリアでの「海外研修プログラム」の様子
      オーストラリアでの「海外研修プログラム」の様子

     このような知識欲や向上心を高める取り組みを、グローバル人材育成に特化したのが、今年度で3年目を迎えたグローバルコースだ。

     通常授業に加えて、ネイティブ教員による週2回の英語授業のほか、世界や日本の現状をテーマに討論やプレゼンテーションを行う「プレゼンテーションプログラム」、国際機関訪問やスペシャリストの講話などを通して世界情勢への認識を深める「特別体験プログラム」、夏休みと冬休みにネイティブ教員による3日間集中トレーニングを行う「パワーアップイングリッシュプログラム」、オーストラリアやカナダ、フィリピンのセブ島で語学研修と異文化交流を行う「海外研修プログラム」という四つのプログラムを実施している。現在、中学の各学年40~50人のうち10人前後がこのグローバルコースに所属する。

     「彼らは少数グループでさまざまな活動に取り組んできたため、課題への取り組み方がより積極的で、しかも効率的。目的を素早く見極め、役割分担やディスカッションもスムーズに行います。指導に当たる教員は、生徒の活動する姿を頼もしく見守っています」(島田副校長)

     同校では、グローバルコースの生徒がもつスキルや意識を学年全体に波及させることも目指している。彼らは上記の特別カリキュラム以外は特選コースのクラスで授業を受けており、またアクティブラーニングや新聞読み合わせなどはクラス混合で実施する。こうすることで、彼らのリーダーシップや発言、発表の視点などが学年全体に浸透していくという。

     最後に、島田副校長に今後の展望を聞いた。

     「今回の進学実績を見て、今までの指導方針が正しいという思いを新たにしています。『ちゃんと育ってきたな』という感じですね。今後楽しみなのは、現在中3のグローバルコース第1期生が、高校を卒業する際にどこまで伸びてくれるかです。その時に、本校の中高一貫教育が『一つの完成形に至る』というふうに感じています。当面はそれを見据えて、現状に満足することなくより生徒を伸ばす教育を継続していきたいと思っています」

     (文と写真:上田大朗 一部写真:二松學舍大学附属柏中学校・高等学校提供)

    2017年10月20日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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