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    2020年の先を見つめた学校説明会…聖園

     聖園女学院(神奈川県藤沢市)は昨年11月23日、受験生向けの第2回学校説明会を開催した。ハンドベル演奏に続く和やかな雰囲気の中、教育理念や将来の生徒像が語られる一方、2017年度入試から導入される「総合力」テストの説明もあり、513人の参加者は説明に熱心に耳を傾けていた。

    「聖園は一つのファミリー」

    • 聖歌隊によるハンドベルの演奏
      聖歌隊によるハンドベルの演奏

     説明会は、生徒たちの聖歌隊によるハンドベル演奏で始まった。広い講堂に美しい音色が響き渡り、やさしく厳かな雰囲気に包まれた後、清水ますみ学校長があいさつし、同校の教育理念を語った。

     「私たちは聖園を一つのファミリーと考えております。お互いがやさしさで結ばれ、上級生と下級生は姉妹と呼び、先生方は、お兄さん、お姉さん、お父さんやお母さんのような親しい関係でどんなことがあっても喜んで助け合える関係を築いていければと思っております」と清水学校長は話した。

     清水学校長は、生徒の一人一人を木に例えて教育理念を説明した。木が実を結ぶためには、しっかりとした根が必要であり、その根は、規則正しい生活、正しい食事、学びなどであること。それらの基本がしっかりとしていてこそ、美しい花が咲き、実を結ぶことを語った。

     あいさつの前には、第38回「全日本中学生水の作文コンクール」で経済産業大臣賞(優秀賞)を受賞した中1生の作文発表もあった。内容、読み上げ方ともに堂々として、清水学校長の言葉を裏付けるかのような成長ぶりがうかがえた。

    羽ばたいていくための「センス」教育

    • 学校の理念を語る清水ますみ学校長
      学校の理念を語る清水ますみ学校長

     続いて、入試勉強会や体験入学などのプログラムに参加するため、子どもたちは別会場に移り、ほぼ保護者のみとなった会場で、学校説明会第2部が始まった。

     進路指導部長を兼務している平野俊介教頭は、新しい大学入試が始まる2020年を見据え、さらに2030年、40年代の世界に、聖園から羽ばたいていく子どもたちに求められる力について語った。

     平野教頭によると、それは三つのキーワードでまとめられる。まずは「Globalization&Diversity」。言語、国籍、価値観など、これまで乗り越えがたかった多様な「壁」の向こうへと橋をかける力だ。二つ目は「AI(人工知能)とロボット」。人間が仕事を奪われるなどの懸念を乗り越え、人類の新しい相棒と共存していくことだ。三つ目は「学力評価テストと英語4技能試験」。総合力を身につけることが必要な時代に入り、答えが唯一ではない問題が出されること。英語も総合力に重心が置かれ、検定では欧州評議会による言語能力測定の参考基準「CEFR(セファール)」指導に基づく力が問われるようになること、などを話した。

     なぜこの三つの力が必要なのか。平野教頭は、一言で「センス」のためだという。「答えのない課題に自分の知識や経験により、あるいはチームの協力により最適な解を提案する力。これがセンス。他人の出した答えに文句を言うのではなく自分で答えを出す。そのほうが世界は幸せになる。そういうセンスを発揮する女性に成長してほしい」と話した。

     この「センス」を生徒たちが磨き合えるよう、同校は昨年から、「Team Project Work」を本格的に始めた。中学1年から高校2年生まで、5、6人のチームを組んでプロジェクトを動かし、全校生徒にプレゼンテーションをする活動だ。中学3年以上は自分で課題を見つけ、英語で発表することが求められる。また、「Team Project Work」の準備段階として、中学1年は「Science Communication Program」に参加する。チームの最小単位であるペアで、ロボットのプログラミングに取り組みながら論理性と協調性を養う。

     「いつでも、どこでも、だれとでも、チームを組んで、課題を見つけ、それを解決するセンスを磨くことが大切」と平野教頭は強調する。

     「センス」は新しい大学入試にもちろん不可欠だ。「論述が増え、教科の枠を超える出題が増えてきます。これに対応するのもセンスです」。また、大学入試にコンピューターやタブレットを使って表現する出題も確実に増えるとみられ、同校での模擬試験にも導入を開始した。

    17年度入試から「総合力」テスト

    • 受験をひかえた小学6年は入試勉強会へ
      受験をひかえた小学6年は入試勉強会へ

     その後、参加者にとって最大の関心事である17年度入試に関する具体的な解説があった。入学試験の大きな変更点は、2月3日に「総合力1、2」(定員15人)の試験が新たに加わること。一方、国語、算数、理科、社会の中から選択する4回の受験(2月1、2日)では各教科とも出題方針などの大きな変更はない予定だ。

     総合力テストは、平野教頭が語った「センス」を問い、養成していくための試みだ。入試広報部長を兼務する鳩憲子教頭はこの日、参加者に総合力テストの問題サンプルを配布し、読みあげながら目的、内容などについて説明した。

     「総合力1」の目的は、知識や経験を教科の枠を超えてオールラウンドに活用できるかどうかを見ることだという。「総合力2」は、答えのない問題に対して論理的に挑戦できる力を見るものだ。試験対策として、「総合力1」は通常の中学受験対策で基礎知識を徹底的に理解すること、「総合力2」はやはり通常の受験対策で、説明問題や論述問題に挑戦し練習することだ。「教科の枠でインプットしたものを、教科の枠を超えてアウトプットすることが大切になる」という。

     このほか、「問題点を挙げながら筋道立てて自分の意見を述べられるか」などの評価基準や、「字数制限がない」などの特徴を説明した。

     国語、算数、社会、理科各教科の担任からも、2016年度入試の問題を取り上げながら、出題傾向や配点、過去の受験生の平均点、正答率などの簡潔な説明があった。

     国語では、「さまざまな言葉に関心をもって勉強し、平仮名も漢字も正しい文字を書いてください」と学習上のアドバイスがあり、算数では、「計算問題では工夫が必要であり、面積や体積の計算にも工夫が求められる」などと注意があった。社会では、基礎的な学力も重視し、解答は「自分の考えを正確に相手に伝えるために漢字表記をしっかり正確に書く。漢字で答えるべきところを平仮名で表記した場合は無得点とします」などと採点法を説明。理科では「もっとも重視しているのは教科書を中心とした基礎知識。日頃の気づきや学習の積み重ねを大切にしてください」などと話した。

    卒業生の話にイメージ膨らむ

    • 卒業生によるパネルディスカッション
      卒業生によるパネルディスカッション

     説明会の締めくくりには、さまざまな分野で活躍する卒業生から通訳者、オペラ歌手、医師の3人をパネラーに招いてのディスカッションが行われた。世界に通用する価値観が身につく話や、聖園での学生時代をどのように過ごしたか、どのような夢や希望をもって勉強に取り組んだかなどについて、さまざまな意見が交わされた。参加した子どもの父親は「ここで6年間を過ごした方々のお話が聞けたので、具体的なイメージがつかめて、とてもよかったです」とうれしそうに話した。

     説明会後は個別相談会もあり、受験を直前に控える受験生と保護者にとっては、入学後のイメージを描きながらモチベーションを上げる絶好の機会となったようだ。

     (文と写真:凛 福子)

    2017年01月17日 14時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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